3万8000件以上の夫婦問題を解決に導いてきた著者の持論は、「離婚はしないに越したことはない」。しかし時には、離婚したことで自分らしさを取り戻し、よりよい人生を送れるケースもあります。最近増えてきた「他人にはよく分からない離婚」の理由と、もし離婚してもひとりで生きていけるかどうかを判定する、男女別チェックリストを紹介します。(夫婦問題専門家 岡野あつこ)

離婚の理由が多様化、
“他人にはよく分からない理由”の離婚が増えている

 ここ数年の傾向として、「離婚の理由の多様化」があります。これは、たとえば「暴力を振るわれたから別れる」「多額の借金を作ったので離婚する」というような、「それは(離婚しても)仕方ない」と他人が感じる理由だけではなくなってきているということ。浮気やDV、借金といった明確な(他人が理解しやすい)原因以外に、夫婦それぞれが自分らしく生きていくために出した結論が離婚だった、というケースも目立つようになりました。

 芸能界でも、自分らしく生きることを選んだ結果、離婚という道を歩むと決心した夫婦の例に注目が集まっています。

りゅうちぇる、はあちゅう…「離婚の理由」複雑化も、決断前に確認すべき9つの質問タレントのryuchellさん Photo:JIJI

 タレントのryuchellさん(りゅうちぇる、27歳)とpecoさん(ぺこ、27歳)の離婚もそうした例の一つでしょう。夫や父親としての立場に息苦しさを感じ、セクシュアリティーの問題も抱えていたというryuchellさんと、「勇気を振り絞ってわたしに打ち明けてくれたことに、ありがとうの気持ちでいっぱい」とコメントし、ryuchellさんのことを受け入れたpecoさんは、お互いに人生のパートナーではあるものの、形式としての離婚を選択。自分らしく生きていくことを尊重したための離婚だったといえるでしょう。

 ブロガーで作家のはあちゅうさん(37歳)とAV男優のしみけんさん(43歳)は、「事実婚の解消」という形で新しいパートナーシップのあり方を示しました。

 入籍はせずに夫婦として同居しながら暮らす事実婚は、法律上は夫婦ではないため社会的に認められない事柄がいろいろあるものの、いざ別れることになった際に伴う莫大なお金と労力を費やす必要がない点は大きなメリットです。自立した関係を保ちながら、子どもの親としてのパートナーシップを築いていくという選択は、自分らしさを優先した結果ではないでしょうか。