さすがに現在では、状況もだいぶ改善されているはずだ、と思いたい。だが、本質的に教育機関は「家族が抱えるリスク」を子どもや学生に教えない。
性教育もそうだ。今の性教育はほとんど恐怖教育だと私は感じている。結婚前の性交渉はどれほど恐ろしいことにつながるか、妊娠したら困ることになる、性病にかかるかもしれない。そうした恐ろしいことは教えるが、実際に妊娠したらどうすればいいか、性病が疑われる時にはどこに行けばよいのか、といった具体的なステップはほとんど教えることがない。
家族も恋愛も、個人の問題、プライベートな領域として、公教育の場で深く踏み込むことをためらう。でも、そうした前提は今、大きく揺らいでいる。
若者は人生のリスクを
知らぬまま社会に出る
同様のことが職業選択や就職指導にも言える。大学の4年間でどう就職に有利な体験を重ね、面接でどう受け答えすれば企業にとって印象がいいか。そうした就職指導はするが、「企業勤務(もしくは公務員)」以外の働き方や生き方があることは、ほとんど教えない。
言うまでもなく、世の中には様々な「職業」が存在している。若者たちが想定する「仕事」の多くが、学生時代にアルバイトをした時の経験か、就職課にある「企業リスト」に限定されるのは、日本経済にとってもよろしくない。
あるいは、いざ働いてみたら就職先がブラック企業だった場合や、頑張りすぎて心身を壊してしまった場合はどうするか。「女性活躍の時代」と言われているが、実際に仕事と家事・育児をどう両立するのか。一度途絶えたキャリアを再び立て直すにはどうすればいいか。困った時はどんな社会制度があり、いざという時どんなセーフティネットがあるのか。若い人たちは知らないまま人生の荒海に漕ぎ出していく。
ちなみに先日韓国に出張に行った際、韓国企業にも長時間残業があるのか大学の教員に聞いてみると、非常に少ないと言われた。







