「ただ言えることは、まだ日本と戦争をしていないソ連に対してレンドリースでは支援できない。枢軸国と戦っている国を支援するのが法律の趣旨であり、日本との戦争の準備のためにソ連を支援するのは筋が通らない。レンドリースは議会への報告義務があり、ソ連への支援に反対するであろう議会を通らない。ソ連も『レンドリースとは別枠で』と要求した」ことを根拠に挙げた。

書影『見えない壁 北方四島の記憶』(本間浩昭 KADOKAWA)『見えない壁 北方四島の記憶』(本間浩昭 KADOKAWA)

「フラがレンドリースの枠組みに含まれるのか、別物なのか、そのあたりの研究はまだ進んでいないようです」

 以降、報道もそれほど続かなかった。結果として、「ソ連軍の北方四島占領に米国の濃厚な関与」という重大な史実は、北海道内にしか報道されず、全国的なニュースとはならなかった。

 それは、いまでも日本人の多くが、ソ連の北方四島侵攻に米国が濃厚に関与していたという歴史的事実を知らない、ということに如実に表れている。日本史の教科書に記述してもおかしくない史実だと私は思う。

 この項で私がギョーカイ内部の事情をつぶさに記したのは、北方領土がソ連軍に奪われた背景に、「アメリカの濃厚な関与があった」という事実を1人でも多くの日本人に知ってもらいたいからである。