情報の量は多いですが、おかげでヒントもたくさんあります。
やるべきこと、考えるべきことも、なんとなく見えてきますね。
難易度はそれほど高くないので、ぜひ、じっくりと考えてみてください。
1つ目のヒントからわかること
ヒントはたくさんありますが、そのまま眺めているだけでは見えてこない真実もあります。
それぞれのヒントからわかることを、1つずつ見ていきましょう。
まず、1つ目のヒントから。
“DはAの3つ下の順位だったが、Eよりは上位だった”
ということは、Aの順位は少なくとも4位以上です。
Aが5位だとすると、Dはその3つ下の8位となり、そのさらに下の順位であるはずのEが8位までの枠を飛び出してしまいます。
これはAが6位以下の場合も同様です。
これが確定しました。
何も得られないヒント?
次のヒントはこちら。
“Bはいままででいちばんの強さを見せた。来年はさらに上位を目指せる”
……う~ん、大きな情報はあまり得られなさそうです。
いったんスルーしましょうか。
では、次のヒントはこちら。
“Gはほんのわずかな差でHに勝った。この2頭が最も接戦だった”
ここからわかるのは、GはHより上位であること。
また、「ほんのわずかな差でHに勝った」「この2頭が最も接戦だった」とあるので、「GはHより順位が1つ上」ということを意味します。
「この2頭以上に差が詰まったトナカイはいない」ということは、GとHの間には他のトナカイはいなかった、ということですからね。
これが確定しました。
判明する「A、D、E」の順位
では、次のヒントはこちら。
“A,C,Fは3位以上を目指していたが、Aだけはそれが叶わなかった”
3位以上を目指していたが、Aはそれが叶わなかったとあります。
つまりAは1~3位ではない。
一方、「Aは少なくとも4位以上」だとわかっています。
よって、Aは4位であると確定します。
ということは、Dは4位であるAの3つ下、つまり7位ですね。
そしてEは、それよりも下である8位だと判明します。
また、「A,C,Fは3位以上を目指していたが、Aだけはそれが叶わなかった」というヒントから、CとFは1~3位のいずれかということも判明します。
「わかっていること」を組み合わせてわかること
現状で判明していない順位は1,2,3,5,6位です。
そして「CとFは1~3位のいずれか」ということは、
1~3位の間に「順位が連続しているGとH」は入れません。
よって、この2頭が入れるのは5位と6位のみ。
すなわちGが5位、Hが6位です。
ここまでにわかったことをまとめると、こうです。
Gは5位
Hは6位
Dは7位
Eは8位
CとFは1~3位のいずれか
「振り返る」ことでわかること
ここまでくれば、あと少し。
わかっていない順位は1~3位で、その3頭はB,C,Fだと判明しています。
ここで、最後のヒントを見てみましょう。
“BとCの順位の間にいるのは1頭だけ”
つまり、BとCの間にFが入り、Fは2位です。
では、BとCのどちらが1位でどちらが3位なのでしょう。
問題文で与えられたヒントはすべて見てしまいました……。
あ、スルーしていたヒントが1つありましたね。
もう一度、見てみましょう。
“Bはいままででいちばんの強さを見せた。来年はさらに上位を目指せる”
先ほど見たときは何も情報を得られなかったこのヒントですが、いま見ると、重要なことを伝えてくれています。
Bはまだ上を目指せるということは……
Bは今年、1位ではありません。
したがってBが3位で、Cが1位です。
優勝したのはC
この問題から学べること
変わった発想は必要とせず、1つずつ考えていけばわかる問題でした。
最初に見たときはヒントにならない情報が、他の情報を得たあとで見ると重要なヒントになる点が面白かったですね。
そして大切なのが、与えられた情報をそのまま見るのではなく、そこから「何がわかるのか」を考える姿勢でした。
じつはこれ、企業の採用試験や公務員試験で出題される「推論問題」と呼ばれる形式の問題です。与えられた情報をただ受け止めるのではなく、それに対して自分の頭で主体的に考えて別の真実を見抜けるような人を、企業や組織も求めているのでしょう。
POINT
・新しい情報を手にしてから、再び同じ情報を見てみると、別の真実が見えてくることがある
(本稿は、シリーズ最新作『もっと!! 頭のいい人だけが解ける論理的思考問題』から抜粋した内容です。本シリーズでは同様の「読むほどに賢くなる問題」を多数紹介しています)









