脳のスイッチを切る
「ストレス・オフ」の儀式

現代社会の過酷なストレスで高ぶった交感神経を鎮めるには、物理的な「心地よさ」が最も即効性のある薬です。

ウールのフカフカ感に触れることで分泌されるオキシトシンは、別名「抗ストレスホルモン」。これが日中に蓄積したコルチゾール(ストレスホルモン)のレベルを下げ、脳を強制的にリラックス状態へと導きます。

この「脳のデトックス」こそが、深い眠りへの最短ルートです。

「心の安全性」を確保し、中途覚醒を防ぐ

「包まれる」感覚は、人間が赤ん坊の頃から本能的に求める安心感に直結します。一日の終わりに柔らかいウールに体を預けることは、自分自身を優しくいたわる「セルフコンパッション(自分への慈しみ)」の実践でもあります。

この精神的な安全感に満たされることで、不安による中途覚醒が減り、朝まで途切れない安定した眠りの「土台」が築かれます。

翌日のパフォーマンスを最大化する「先行投資」

質の高い眠りは、単なる休息ではなく、翌日の決断力や創造性を生むための積極的な投資です。オキシトシンに満たされた安らかな眠りは、睡眠中の記憶の整理や感情の回復を劇的に促進します。

目覚めた瞬間に感じる「心身の軽さ」と「満たされた感覚」こそが、仕事やプライベートの難題に立ち向かうための強いメンタルと活力を養ってくれるのです。

至福の触感を守り抜く「慈しみのお手入れ」

この幸せな感覚を長く味わい続けるためには、繊維をいたわる知恵も大切です。時おり、専用のブラシで軽く表面を整えてあげるだけで、ウール独特の反発力と肌触りが驚くほど復活します。

寝具を整えるという行為そのものが、自分の人生を丁寧に扱うという自覚につながり、それがさらなる幸福感のループを生み出してくれるでしょう。

※本稿は『とにかくぐっすり眠りたい 老舗ふとん店の12代目がこっそり教える快眠法60』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。