以下が、書籍『頭のいい人だけが解ける論理的思考問題』で紹介している解説と回答です。
それぞれの「最低枚数」は?
問題文には、いかなる20枚を取り出しても「少なくとも1000円札が1枚、2000円札が2枚、5000円札が5枚存在する」とあります。
ここから、1000円札・2000円札・5000円札の最低枚数(少なくともこの枚数以上存在するという数)を割り出せます。
なぜなら「どんな20枚を選んでもその中に少なくとも1枚の1000円札が存在する」とは、少なくとも、
「選ばなかった6枚+1枚」の1000円札が存在する
ということだからです。
「選ばれなかった6枚」が鍵を握る
1000円札が7枚以上あれば、どのように20枚を選んでも、「選ばれた20枚」には1000円札がかならず1枚は入ります。
7枚の1000円札を、6枚の「選ばなかったお札」に押し込めることは不可能だからです。
よって、
ということがわかります。同様の発想で、
5000円札は「選ばれなかった6枚+5枚」以上=11枚以上
とわかります。
それぞれの最低枚数を合計すると「7+8+11=26」です。
そしてサイフの中に入っていたお札も全部で26枚。
すなわち、26枚のお金の内訳は、
2000円札が8枚
5000円札が11枚
であり、それらを合計した7万8000円が正解です。
7万8000円
ということで、AIの回答は正解でした。
この問題からの「学び」は?
この「26枚のお札」の問題からは、以下の点が学べます。
①わかっている事実が示す「条件」を見抜く思考
この問題のポイントは、「どんな20枚を選んでも必ず含まれる」という条件の読み取り方にあります。これは偶然そうなる、という意味ではなく、「それより少ない枚数だと、必ず条件を破る選び方ができてしまう」という下限の制約を示しています。わかっている事実から、「確実に言えること」を見抜く思考が必要となる問題でした。
②正面から数えず、「入らない場合」を想像する
多くの人は「サイフからお札を取り出すパターン」を考えてしまいがちですが、この問題で考えるべきポイントは逆でした。「起こり得るはずのない、1000円札が1枚もないパターンとは?」と、逆の視点で考えてみると、必要最低枚数が一気に見えてきます。成立しないケースを潰すという逆向きの思考が学べる問題でした。
③条件が強いほど、答えは一意に決まる
一見すると情報が足りないように見えますが、「どんな選び方をしても」という強い条件があるため、実は自由度はほとんどありません。下限をすべて満たすと枚数がぴったり26枚になり、他のお札が入り込む余地はなくなります。条件が強いほど、答えは逆にシンプルになる。この問題は、その感覚をつかむのにとても良い一問です。
このように、「視点を当てる部分を変えて考える力」が楽しみながら得られる問題でした。
(本稿の問題は、シリーズ第1弾『頭のいい人だけが解ける論理的思考問題』から抜粋したものです。本シリーズでは同様の「考えるだけで賢くなれる問題」を多数紹介しています)











