普段は入れない所まで!半年にわたる交渉で実現した「出雲大社が全面協力」の映像美〈ばけばけ第66回〉

ヘブン、愛の告白「となり、ずっと、となり」

 ヘブンは立ち上がり、縁側に向かい、トキの隣に座る。

「あなたいない 完成できないの本 ありがとう」と礼を述べる。

 トキは涙をぬぐいながら返す。

「ヘブン先生に会えて、夜な夜な怪談を語り、聞いてもらえてよかった」「仲間できて ほんとに楽しかった」

 怪談語りの仲間ができた喜びは格別なことだったろう。

 ここではカメラは縁側のほうに移動し、トキとヘブンが手前、奥に錦織という構図になっている。

 ふたりのやりとりを錦織はじっと聞いている。

 ヘブンは錦織にも目を向け「友人」として感謝を語る。「友人」と呼ばれて、錦織も涙ぐむが、持っていたハンカチを自分では使わず、トキに渡す。紳士である。

 つい、ヘブンと錦織が同時に話し始めてしまった。ヘブンが錦織に譲る。

 英語で話そうとする錦織にトキは「日本語で聞いていただけませんか」。

「せっかくならわかる言葉で聞きたいです」と覚悟を決めているようだ。

「完成したら帰るですよね」「松江、離れる、いなくなる、ですよね」

 錦織が念を押すと、意外な答えが返ってきた。

「いてもいいですか」とおずおずと尋ねるヘブン。

「いてもいいですか」と繰り返す。

 絶望から希望へ、トキの表情が変わっていく。

「なして?」と泣き笑い。そんなトキを錦織はちらと見る。

「となり、ずっと、となり」

「いさせて」がうまくいえないヘブン。察したトキがゆっくり噛んで含めるように「いさせて」と見本を見せ、ヘブンは「いさせて」「いさせてください」が言えた。

「はい」とトキ。

 ヘブンも涙ぐんでいる。

 すっかりうれしいふたりをじっと見るのもためらわれ、錦織は目を伏せ、お茶を飲む。

 吉沢亮がすばらしい。邦画興収ナンバー1作の主演俳優であり、国宝級イケメンとの誉れも高い、見た目も実力も申し分ない彼が、この場面では控えめに、トキとヘブンの邪魔をしないように存在している。明らかに派手なビジュアルの人なのに光量をぐっと下げて見える。