
ヘブン、愛の告白「となり、ずっと、となり」
ヘブンは立ち上がり、縁側に向かい、トキの隣に座る。
「あなたいない 完成できないの本 ありがとう」と礼を述べる。
トキは涙をぬぐいながら返す。
「ヘブン先生に会えて、夜な夜な怪談を語り、聞いてもらえてよかった」「仲間できて ほんとに楽しかった」
怪談語りの仲間ができた喜びは格別なことだったろう。
ここではカメラは縁側のほうに移動し、トキとヘブンが手前、奥に錦織という構図になっている。
ふたりのやりとりを錦織はじっと聞いている。
ヘブンは錦織にも目を向け「友人」として感謝を語る。「友人」と呼ばれて、錦織も涙ぐむが、持っていたハンカチを自分では使わず、トキに渡す。紳士である。
つい、ヘブンと錦織が同時に話し始めてしまった。ヘブンが錦織に譲る。
英語で話そうとする錦織にトキは「日本語で聞いていただけませんか」。
「せっかくならわかる言葉で聞きたいです」と覚悟を決めているようだ。
「完成したら帰るですよね」「松江、離れる、いなくなる、ですよね」
錦織が念を押すと、意外な答えが返ってきた。
「いてもいいですか」とおずおずと尋ねるヘブン。
「いてもいいですか」と繰り返す。
絶望から希望へ、トキの表情が変わっていく。
「なして?」と泣き笑い。そんなトキを錦織はちらと見る。
「となり、ずっと、となり」
「いさせて」がうまくいえないヘブン。察したトキがゆっくり噛んで含めるように「いさせて」と見本を見せ、ヘブンは「いさせて」「いさせてください」が言えた。
「はい」とトキ。
ヘブンも涙ぐんでいる。
すっかりうれしいふたりをじっと見るのもためらわれ、錦織は目を伏せ、お茶を飲む。
吉沢亮がすばらしい。邦画興収ナンバー1作の主演俳優であり、国宝級イケメンとの誉れも高い、見た目も実力も申し分ない彼が、この場面では控えめに、トキとヘブンの邪魔をしないように存在している。明らかに派手なビジュアルの人なのに光量をぐっと下げて見える。







