新婚初夜、ヘブン怒る

 結局その日は家族に結婚の話を切り出せないままになる。

 翌日? トキはヘブン宅に来た錦織に相談。女中ではなくなったら20円がもうもらえないのかという問いに、当然出ないだろうと錦織は答える。

 明日は毎月の給金の日。ヘブンに言葉で確認するのもなんなので、そこでもらえるかもらえないかで判断しようとトキは考える。へたにたどたどしい英語を使ってもめ事になってもいけないし、錦織に聞いてもらうのもためらわれるのだろう。

 コソコソ小声で話しているトキと錦織に「悪口?」と聞くヘブン。知らない外国語でコソコソ話されると悪口かなと疑心暗鬼になる、あるある。

「ノーノーノーノー」とトキと錦織は慌てて打ち消す。
 
 そして夜になった。

 この日が実質、新婚1日目となる。ロマンチックな新婚初夜ではなく、ヘブンは書き物をするので先に寝ていいと言う。

「おやすみなさい」とあいさつを交わしたあと、トキはそっと帰ろうとすると、ヘブンが部屋から出てきて仁王立ち。なんで帰るのか、と責めたような顔になっている。

「私こわい?」

 ロウソクを持って立っているヘブンはちょっとこわい。

 ヘブンはまだ家族に言っていないことを聞いて、「なぜ 言うない?」「異人だめ?」「ヘブンだめ?」とまた自分のせいかと蒸し返す。最終的に「好きにすればいい」とそっぽを向いてしまった。

 こういうとき、英語で話すヘブンはこわい。いつものあたふたヘブンとは別人だ。

 結局、このあと、トキはいったん家に帰ったのだろうか。

 翌朝もヘブンは機嫌が悪く、錦織が心配する。

 せっかく結婚して幸せになれそうだったのに、なんでこんなことに。

 ヘブンを見送り、玄関でしばし沈黙していたトキだが、我慢できず、猛然と駆け出した。

 家に戻るなり、「言います!」。

 ぎょっとする松野家一同。

 世の中には勢いで言ったほうがいい場合と、よくない場合があるが、トキの場合はどうなる?

 言わないことにははじまらない。

結婚初夜なのに…ロウソク持って仁王立ち!真実明かさぬ新妻に“異人の夫”が詰め寄った〈ばけばけ第67回〉
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