転職後最初の3カ月の
過ごし方で判断される

 私は、転職先では「最初の3カ月から半年は、成果を出そうと思うな」とアドバイスしています。それよりも、自分の半径3メートル以内にいる身近な人たち、例えば直属の上司や先輩との関係構築にこそ全力を注ぐべきです。

 ここで重要になるのが、2種類の「信頼」を理解して、使い分けることです。1つは、成果を出した結果得られる「あの人は仕事ができる」という評価に近い信頼。もう1つは、「人となり」を知ってもらうことで得られる「あの人は悪い人ではない」という基本的信頼(ベーシックトラスト)です。そして、中途入社者がまず築くべきは、後者の「基本的信頼」のほうなのです。

 そのために必要なのが、開かれた姿勢です。私はあなたたちを尊敬しています、私は敵ではありません、もっと私自身を知ってほしい……こうした姿勢を見せることで初めて、基本的信頼のための一歩が始まります。開かれた姿勢の有無こそが、中途入社でうまくいく人と嫌われる人の明確な違いなのです。

 中途入社で嫌われる人は、この開かれた姿勢がありません。むしろ、無意識のうちにその正反対の態度を示す「絶対NGなワード」を口にしています。

NGワード1:「前職ではこうしていました」

 これは非常によく聞く言葉です。本人にしてみれば、善意の改善提案のつもりなのでしょう。しかし、この言葉は、受け取る側の既存社員にとってはマウントを取りに来たように見えたり、「批判」に聞こえたりします。自分たちがこれまでやってきたやり方をいきなり否定されたと感じ、強い抵抗感が生まれます。「前の会社のやり方がそんなに良いなら、前の会社に戻ればいいじゃないか」と思われてしまうのがオチです。

NGワード2:「このやり方、非効率ですよね」

 これは、新しい仕事のやり方をレクチャーされている場面で中途社員が思わず口にしてしまうことがある最悪のフレーズです。言われた側は、「来たばかりで内情も知らないくせに、何を勝手なことを言っているんだ」と感じます。「中途ジレンマ」の話に戻りますが、「それを言う前に、まず信頼されてから言えよ」というのが既存社員の本音でしょう。