AIが「使えるかどうか」は、人間側の「使い方」で決まります。
ChatGPTやGeminiなど、2025年は「AI」の活用が急速に普及した。仕事で「なんとなく」使っている人も多いはず。でも、心のどこかで「本当に使いこなせているのか?」と、不安を感じてはいないだろうか。
そんな人に読んでもらいたいのが、書籍『AIを使って考えるための全技術』だ。グーグル、マイクロソフト、NTTドコモ、富士通、KDDIなどを含む600社以上、のべ2万人以上に思考・発想の研修をしてきた石井力重氏が、そのノウハウをAIで誰でも実践できる方法をまとめた。全680ページ、2700円の“鈍器本”ながら、「AIにこうやって聞けばいいのか!」「値段の100倍の価値はある!」との声もあり話題になっている。思考・発想のベストセラー『考具』著者の加藤昌治氏も全面監修として協力し、「これを使えば誰でも“考える”ことの天才になれる」と太鼓判を押した同書から、「2026年に使いこなしたい神プロンプト5選」を紹介しよう。(構成/ダイヤモンド社・石井一穂)

【2026年こそAIを使いこなす!】仕事力が爆上がりする“ChatGPT神プロンプト”5選!Photo: Adobe Stock

2026年に使いこなしたい「神プロンプト」5選

「ChatGPT、便利だよね」

 そう言う人は、もう珍しくありません。調べ物、文章作成、要約、アイデア出し……。多くのビジネスパーソンが、すでにAIを日常的に使っています。

 ただ、AIを使ってみたところ、

「当たり前の回答しか返ってこない」
「面白いけど、仕事には使えなさそう」
「自分の仕事はAIには無理かも」

 と感じて、使うのをやめてしまった人もいるのでは?

 たしかにAIは便利ですが、適当な聞き方をしても、質の良い回答は得られません。ロクでもない回答が返ってきてしまうときには、人間側の質問(プロンプト)が適切でないことがほとんどなのです。

 そこで、AIをただの「効率化の道具」ではなく、「自らの思考力を高める道具」として使うための「56の技法」を紹介した書籍『AIを使って考えるための全技術』から、2026年に「これだけは使ってもらいたい!」というおすすめプロンプト5選を紹介します。

おすすめプロンプト①
「各種専門家の案」

 1つめのおすすめプロンプトは、「各種専門家の案」という技法です。

 これは、1人でアイデアに悩んでいるときなどに、複数の専門家の視点でAIにアイデアを出してもらう使い方です。
 そのプロンプトが、こちら。

「各種専門家の案」のプロンプト

多数の専門家(クリエイティブな専門家、技術専門家、ビジネス専門家、学術研究者、社会科学者、ユーザー、ディスラプター、ユーモアのセンスを持つ人々、冒険家)として〈アイデアを得たい対象を記入〉について具体的な案を考えてください。
――『AIを使って考えるための全技術』(81ページ)より

 アイデア発想に関心のない人でも、「ブレインストーミング」という言葉は聞いたことがある言葉でしょう。2名以上が集まって、制限なくアイデアを出していく方法です。

 ブレインストーミングの質は、参加メンバーの適性によって左右されます。多様で有効なアイデアを得るには、ジャンルを超えた人たちでアイデアを出し合いたいところです。

 しかし、人のアサインには膨大な手間がかかります。社内でさえ大変なのに、ジャンルを超えた詳しい人たちを探すとなると、準備が本当に大変。適任を探し、守秘義務契約を締結し、日程を調整する。場合によっては報酬をお支払いする……。真剣にやろうとすると、実現へのハードルの高さに驚きます。

 そこで、AIに専門家に成り代わってもらい、広範な知識のなかから適切な情報やアイデアを探し出してもらうのが、この技法「各種専門家の案」です。
 1人でアイデアを出さなければいけないときや、専門家も含めたブレインストーミングを行いたいけれど時間も人脈も予算も不足している。そんなときにおすすめのプロンプトです。

おすすめプロンプト②
「隙のあるアイデア」

 2つめのおすすめプロンプトは、「隙のあるアイデア」という技法です。

 これは、会議やブレストなどで議論と発想を促進させるための使い方です。
 そのプロンプトが、こちら。

「隙のあるアイデア」のプロンプト

〈アイデアを得たい対象を記入〉に関して、隙のあるアイデア(=聞いた人がそこからいろんな派生案を思い浮かべられるほど、未成熟で、欠けのあるアイデア)を複数出してください。
――『AIを使って考えるための全技術』(64ページ)より

 ブレインストーミングなどでアイデアの可能性を拡げようとするとき、参加者から次々と「こんなのはどう?」と追加のアイデアが出てくるのは、具体的な要素が全部きっちり描かれたアイデアよりも、どこか隙のある荒削りなアイデアの方だったりします。

 細かいところは欠けているけれど、その場にいるみんなが面白いと感じ始める。そんな「隙のあるアイデア」が場に出てくると、「それは無理だろ~。でも、こう考えてみたらどう?」と、メンバーからわいわいと意見やアイデアが出てきます。

 この議論や発想の「たたき台」となるアイデアをAIに出してもらうのが、技法「隙のあるアイデア」です。
 複数人でブレインストーミングしている場で「ちょっと発想がマンネリ化してきたな」というときに使ってもらうと、発想の仕方が変わっていろんな案が出てきます。

 隙があると、ツッコみたくなる。それが人間の本能なのです。