大晦日には、日本では恒例のNHK紅白歌合戦が放送されます。放送開始から70年以上、世代を超えて続いてきたこの番組は、今や「歌声の見本市」と言ってもいい存在です。
紅白歌合戦は、ぜひ「曲」ではなく、歌手たちの「声」に注目して聴いてみてください。わずか数分の中に、歌手たちは自分の声のすべてを込めて私たちに歌を届けてくれます。
歌手のバックグラウンドを知ると「歌声」の深みがわかる
たとえば、MISIA。
誰もが認める圧倒的な歌唱力を持ちながら、彼女の魅力は「上手さ」だけではありません。楽曲によって微妙に変わる声の色合い、強さの中に潜むやさしさ。彼女の声には、甘い響きがあり、バラードでは、その響きの歌声がまるで聴く人を抱きしめるように広がり、その人の記憶にそっと寄り添います。また、反対にパワフルで真っ直ぐ届いてくる声量豊かな歌声のラインは、強さと決然とした潔さを感じさせ、聴く人の耳に心地よさとダイナミックさを届けるのです。今年の彼女の楽曲は“MISIAスペシャル”と銘打っていますから、きっとさまざまな彼女の歌声の響きが聞けることでしょう。
あいみょんの声は、日常の延長線上にあります。
彼女の真っ直ぐな響きの混じり気のない歌声は、決して飾り立てない、話しかけるような声です。その自然体の響きは、言葉を「自分の感情」として受け取らせてくれます。彼女の歌声で描き出される「ビーナスベルト」は、まさに優しいピンク色の帯状の空。温かみのある歌声でそっと私たちの日常に寄り添ってくれることが、彼女の大きな魅力です。
幾田りらは、物語を声で描く歌手です。
YOASOBIの楽曲で聴かれる彼女の声は、語りと歌の境界線を軽やかに越えていきます。言葉が旋律に溶け、感情が自然に流れ込んでくる。その声は、日本語のリズムそのものを音楽に変えているように感じられます。今回、ソロ歌手幾田りらとしての「恋風」では、ikuraとは全く違った雰囲気の声に聞こえます。楽曲によって声質も色彩も違うように聞こえる彼女の歌声に注目してみて下さい。
ちゃんみなの声は、感情の振れ幅そのものです。







