強さも弱さも隠さず、むしろ剥き出しのまま声にする。その生々しさが、聴く側の心の奥にある感情を呼び覚まし、声が感情の告白になっている。彼女の生き方そのものが歌声に表れ、多くの若い女性の共感を得る歌手です。今回、披露する曲「NG」のラップ特有の喋り声と「SAD SONG」の透明感ある歌声とは全く趣を異にするもののように聞こえますが、この「喋り声」と「歌声」の両面が均等に立ち上がってくるのが彼女の歌手としての最大の魅力です。「NG」は強烈なMVですが、その世界観を紅白のステージでどのように彼女が描き出すのかも非常に興味深いところです。
歌声はキャリアの中で変化し、魅力を深めていく
郷ひろみの声は、実は渡米前と帰国後では全く趣が異なります。単に年齢を重ねたのではなく、発声そのものを変えた彼のアメリカでの3年間の努力が70歳を迎えてなお伸びやかで透明感溢れる歌声を保っている理由です。紅白の定番曲「2億4千万の瞳―エキゾチック・ジャパン」を若い頃と同じ高さのキーで歌える歌声は、彼の日々の厳しい鍛錬の積み重ねの証です。この曲に使われている明るく伸びやかな声は、聴く人の身体を自然と揺らし元気にするのです。
布施明の声は、包容力そのものです。
今年、78歳を迎えた彼の深く安定した声は、年齢を感じさせないほど充実しています。「MY WAY」で披露される重厚感溢れる声は真っ直ぐにホールの最後列まで響き渡り、聴く人全てをその世界に一瞬で引き込んでいくでしょう。「私には愛する歌があるから~」の歌詞は、まさに彼のためにあるのです。
玉置浩二の声には、何の説明もいりません。
静寂の中に一筋の響きが真っ直ぐに弧を描いて届いていくかと思えば、地面から突き抜けるような力強さ、そして明るく軽やかな歌声、さらに切なく甘く琴線に触れていく声。まさに「歌神」の名に恥じないアーティストです。3年ぶりに書き下ろされた「ファンファーレ」は彼の前向きで明るく躍動感溢れる歌声で、全ての人達に元気を与える素晴らしい曲と言えるでしょう。







