Mrs. GREEN APPLEの大森元貴の声は、言葉の立ち上がりが鮮烈です。高音の強さだけでなく、言葉が感情として放たれる瞬間には強い説得力があります。「GOOD DAY」は彼の真骨頂でもある「さまざまな色に彩られた歌声の宝庫」を味わうことが出来る歌です。彼の明るい歌声はどんな時も前を向いて歩けるように背中を押し続けてくれるのです。
RADWIMPSの野田洋次郎の声は、繊細さと荒々しさの両面を兼ね備えています。その両面の魅力が声の揺らぎとなって、楽曲の世界観と結びつき、聴く人の感情を深く揺さぶるのです。「賜物」や「正解」に使われている歌声は真っ直ぐな響きの迷いのない歌声で聴く人を導いていきます。彼の誠実な人間性を表す声に注目してみて下さい。
氷川きよしの歌声は、「変化」を内包した声です。
演歌で培われた芯のある発声と、近年のジャンルを横断する表現。張りのある高音も深みのある低音も、ジャンルを制限しなくなったことで魅力が増しました。
「愛燦燦」を演歌として歌うのか、それとも新しい面を見せるのか、非常に期待できるところです。
米津玄師の歌声は、内面の思考がそのまま音になったような声です。
「IRIS OUT」では混濁した響きの歌声で感情を表現、ラップ部分の喋りに新しい歌声を聴かせるなど、ボーカリストとしての一層の進化を感じさせるものです。
歌声に注目して紅白歌合戦を楽しもう
紅白歌合戦は、世代もジャンルも超えた「声の競演」です。
同じ日本語でも、声が変われば、届き方はまったく違う。意味を超えて感情が伝わる瞬間が確かにそこにあります。
ここに挙げた歌手たちに限らず、どの歌手たちも“たった一つの声”を持っているのです。
今年の大晦日は、ぜひテレビの前で、歌手たちの「声」に耳を澄ませてみてください。きっと、これまでとは違う聴こえ方がするはずです。
紅白をきっかけに、歌手たちの歌声の魅力に注目して頂けたら、声の専門家として、これほど嬉しいことはありません。ぜひ、じっくりと味わってみて下さい。








