「何を学ぶか」より前に、「なぜ学ぶか」を考えたことがあるだろうか。
独学やリスキリングを始めても、途中で挫折する人が多いのは、目的地の地図を描かずに旅を始めるからだ。『ULTRALEARNING 超・自習法』は、どんなスキルでも最速で身につけるための原則を解説した実践書であり、その最初の原則「メタ学習」では、学びの地図を描く方法を教えてくれる。本連載では、ウォール・ストリート・ジャーナル・ベストセラーにもなった本書の「学習メソッド」を紹介していく。(構成:ダイヤモンド社書籍オンライン編集部)
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学びを始める前に問うべき3つの質問
本書では、学びの準備段階で「なぜ」「何を」「どうやって」という3つの質問を立てる重要性が語られている。これがウルトラ・ラーニングの出発点だ。
「なぜ」学ぶのかが明確であれば、最も大切なことに集中でき、無駄な時間を省ける。
著者は、スキル習得の動機を「実利的」か「本質的」かで整理する。たとえばキャリアアップのために統計を学ぶ人は前者、純粋に興味からフランス語を学ぶ人は後者に当たる。
「なぜ」すなわち何らかのスキルや知識を学びたい理由がはっきりしていると、自分にとって最も重要なことにプロジェクトの焦点を合わせることが可能になり、多くの時間を節約できる。(『ULTRALEARNING 超・自習法』より)
また、著者は「学びたい理由」が実際に成果につながるかを見極めるため、「エキスパートインタビュー法」をすすめる。
自分が目指す道をすでに歩んでいる人に短い時間で話を聞き、「このスキルは目標達成に本当に役立つか?」を確かめるのだ。SNSやオンラインフォーラムで探すのも有効だろう。
「何を」学ぶかは3つに分解して整理する
次に問うべきは「何を」学ぶかである。
ここでは「概念」「事実」「行動」の3つに分けて書き出す方法が紹介されている。たとえば英語を学ぶなら、文法のルール(概念)、単語(事実)、発音の練習(行動)といった具合だ。
物事を概念、事実、行動に細分化すると、これから直面する障害を把握し、それを乗り越えることが可能になる。(『ULTRALEARNING 超・自習法』より)
著者はこの分析を「学びの地図」と呼ぶ。ボトルネック、つまり最も難しい要素を見つけて対策を立てるのが目的だ。
「暗記が苦手なら記憶ソフトを導入する」「理解が難しいなら他人に説明してみる」など、弱点に合わせた戦略を立てることで、学びの効率は劇的に上がる。
「どうやって」学ぶかを決める2つの手法
最後に考えるのが「どうやって」学ぶかだ。
本書では、これを決めるための手法として「ベンチマーク」と「強調/除外法」を挙げている。
ベンチマークとは、すでに存在する学習方法を調べ、基本形をつくることだ。大学のシラバスや専門家の教材リストを参考にすれば、自分だけのカリキュラムをゼロから組むよりもはるかに速い。
そのうえで「強調/除外法」によって、自分の目的に合う部分を強調し、不要な部分を除外する。たとえば「旅行で会話したい」なら文法よりも発音を重視するようにするのだ。
「効率的な学び方」を探すより、「自分に合った学び方」を設計することが重要だ。AIやオンライン教材などが溢れるいま、情報よりも「取捨選択する力」が問われているのかもしれない。





