「クロネコヤマトを創った男」の人を育てる会話術、相手を全て受け入れ"ちょい足し"するすごい作法とは小倉昌男氏 Photo:SANKEI

“クロネコヤマトの宅急便”の生みの親である小倉昌男氏は、議論の場で「YES,BUT」の姿勢を大事にしていたという。相手の提案などに不満があっても最初から否定しない――。最近では小倉氏の姿勢に、ある意識を「ちょい足し」すると良さそうだ。(イトモス研究所所長 小倉健一)

「YES、BUT」話法とは

 ヤマト運輸の事実上の創業者とも言える小倉昌男氏は、内気な文学少年のような心を持ちながら、巨大な官僚機構や既成概念という壁に対し、決して折れることのない信念で立ち向かった人物である。

 小倉氏が遺した経営哲学の中に、人間関係や仕事の進め方において極めて示唆に富む思考法がある。それが「YES、BUT」話法だ。

 誰かの意見や提案に対し、不満や異論があるとき、私たちはどう反応するだろうか。多くの人は、相手の話が終わるか終わらないかのうちに「いや、それは違う」「でも、それは無理だ」と否定から入ってしまう。いわゆる「NO、BUT」である。

 まず否定し、その後に理由を述べる――。議論を停滞させ、相手の心を閉ざしたいなら、これが最も近道だ。小倉氏は、このやり方を戒めた。

 最初に相手の言い分をすべて受け入れ、「YES」で包み込むのだ。その上で、「しかし、こうすればもっと良くなるのではないか」「ここは検討が必要ではないか」と、建設的な「BUT」を継ぎ足す。

 小倉氏の著書『やればわかるやればできる: クロネコ宅急便が成功したわけ』(講談社)では繰り返しその重要性を説いている。