しかも、デンマークの社会では子どもも大人も存分に人生の時間を謳歌しながら、前述した通り、幸福度だけでなく、国際競争力やSDGsなどでも世界をリードする存在です。

 デンマークに暮らしてもうすぐ25年になりますが、デンマーク社会に暮らし、デンマーク人の多様な人生を見ていると、それぞれが自分の価値観を信じて生きている、とつくづく感じます。たとえそれが他の人と違ったとしても、自分を大切にし、他の人もそんな違いを尊重してくれます。

 どうしてそんなことができるのだろう? みんな思い思いの人生を生きていても、国としてまとまり、多くの国民が幸せだと感じられるのはなぜなんだろう? と考え続けて、やはり、子どもも大人も5歳児のような好奇心を持っていていいんだと教える「教育」こそが、デンマークの幸せな社会の源なのだ! と確信するようになりました。

 子どもや若者が幸せな社会は、総じて大人も幸せなのです。

 受験のない教育、宿題や塾が必要ない教育、一人ひとりの価値観や人生を尊重し、みんなが幸せに生きられることを大切にする。そんな教育は、どのように成り立っているのでしょう?

 その一端をご紹介しましょう。

デンマークの義務教育機関・フォルケスコーレとは?

 デンマークでは、子どもの義務教育は0年生(就学前クラス)から9年生までの10年間です。

 フォルケスコーレという日本の教育でいうと小中一貫の教育機関があり、多くの場合、子どもが6歳になる年の8月に0年生として入学します。

 ひとクラスの人数は最大28人と法律で定められていて、ほとんどの学校のひとクラスの人数は22~24人のところが多い印象です。

 教員は、教科別に担当が分かれているので、日本の小学校のように、ひとりの先生が何科目も担当することはありません。ひとりの先生が担当するのは、多くても3科目、通常は2科目を担当することが一般的です。

 また、0~3年生のクラスでは、それぞれの生徒の学びの進捗状況や発達の状況に合わせて、サポート教員と2人体制で授業を進めたりすることもあります。