しかしラジ・チェティ博士とナサニエル・ヘンドレン博士は次のように書いている。

「『社会的レベルの向上に対して、何かしら打つ手はある』ということをデータは示している。子どものときに1年でも多く、良い環境で過ごすことが重要だと思われる」

 子どもたちを迎え入れたとき、この子たちが私たち夫婦とまったく別の世界からやってきたのは明らかだった。

 5歳の子は10まで数を数えることができず、また自分の名前の頭文字もわからなかった。7歳の子は字を読めず、ただ暗記した言葉をところどころ間違えながらなんとか読み進められる程度だった。

 どの子もひとりで寝られず、調子が悪いときは薬が欲しいとせがんだ。

引っ越しを機に起きた
7歳時の大きな変化

 生活の変化は、控えめにいっても大変なものだった。

 子どもたちと私たち夫婦という2つのまったく異なる世界がぶつかり合い、私たち家族は力ずくで、まとまった新しいひとつの集団となった。

 ローレンと私は、里親として3年でかなり変わらなければならなかった。その場その場で親業を学ばなければならなかったし、これまで経験したどんなことよりも忍耐力が求められた。

 生活やスケジュール、優先順位は、子どもたちに合わせて組み直さなければならなかった。

 とはいえ、これは私たちがまさに求めていたものだった。

 新しい状況で必要性に駆られ、もっとやさしく思いやりのある人間へと進化せざるを得なくなることはわかっていた。

 私たちは意図的に、自分たちを形作ってくれる環境を作り上げたのだ。

 子どもたち、そして私たちは一緒に、劇的な変化を遂げた。

 子どもたちは、うちに来てから通い出した、これまでよりも厳しい学校でいきいきと過ごしている。

 スポーツや課外活動にも参加している。過去3年間で国内30州以上を訪れ、世界観を大いに広げ、存在することさえも知らなかったような、様々な環境に触れている。

 ここ1年近く、子どもたちは精製された砂糖を取らない食生活を続けている。おかげで体質が変わり、自信がつき、学習や睡眠の質が向上し、落ち着けるようにもなった。