武藤は同書において2021年の調査結果として主体性の次に求められているのは「チャレンジ」「行動力」「思考力」であること、また増加傾向にある能力語彙として「チームワーク」「コミュニケーション能力」があることをまとめている。この並びから想像されるのは「自らの意思で動く人」というよりも「周りとうまくやっていくために動ける人」ではないだろうか。
1990年代と2010年代を比較すると、1990年代には、〈主体性〉は、「主体的に行動する」のように個人の行動として用いられていたが、2010年代には、〈主体性〉は「思考力」、「協調性」と結びつき、「主体的に考える」という個人の思考(内的活動)が重視されるとともに、「主体的に協調する」のように、自ら他者と協調していくことが重視されるようになったと考えられる。
(『企業が求める〈主体性〉とは何か』)
(『企業が求める〈主体性〉とは何か』)
企業にとって都合のいい“主体性”が
求められている?
自分で考えてほしいが、それを発揮してほしい場面は誰かとうまくやるときであって、そもそもの枠組みを刷新するようなアクションは求められていない。好まれるのは、企業にとって都合のいい主体性、自分たちを脅かさない主体性である。
「やりたいこと」をなかば無理やり求められる空気の中で、多くのビジネスパーソンは企業や国のコントロールできる範疇においてやんわりと「あなたはこれがやりたいはず」という意識づけをされている。
なりたい自分について真剣に考えよう!あなたはやりたいことがないのではなく、使命が見つかっていないのです。
(山内太地、小林 尚『やりたいことがわからない高校生のための最高の職業と進路が見つかるガイドブック』)
(山内太地、小林 尚『やりたいことがわからない高校生のための最高の職業と進路が見つかるガイドブック』)
近年では、「ドリハラ(ドリーム・ハラスメント)」という言葉も生まれたが、夢を持つことを強要してしまうことは、夢が見つからない子どもにとっては、れっきとしたハラスメントなのである。
(児美川孝一郎『キャリア教育がわかる』)
(児美川孝一郎『キャリア教育がわかる』)







