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知的障害への理解や支援が進む一方で、制度のはざまで見過ごされてきた人たちがいる。知的障害には該当しないものの、平均的なIQに届かない「境界知能」の人たちだ。アルコールや薬物への依存リスクが高く、受刑者の約35%を占めるというデータもある。しかしそれは、「境界知能の人が犯罪を起こしやすい」からではない。なぜ彼らは困難に直面し、犯罪や孤立に巻き込まれやすいのか。その背景を、『ケーキが切れない非行少年たち』の著者が、豊富な研究と臨床経験をもとに解き明かす。※本稿は、立命館大学大学院人間科学研究科教授の宮口幸治『境界知能 存在の気づかれない人たち』(扶桑社)の一部を抜粋・編集したものです。
社会的スキルの発達が遅れ
困難を抱える境界知能の人々
知的障害児(編集部注/IQ70未満の人を指す)には言葉の遅れがあるためどうしてもコミュニケーション行動は定型児に比べ遅れが生じます。
ただ軽度知的障害(編集部注/IQが50~69の人を指し、簡単な社会生活の決まりに従って行動することが可能)では日常生活場面においてはそれほど困らないケースもあり、境界知能(編集部注/IQ70~84の人を指す)であれば日常生活においてはほぼ問題ないと思われます。
しかし、知的障害においては語彙の少なさ、表現内容の単純さ、過去や未来のことの理解力の低さ、言葉での指示の拙さ、話の理解力の低さ、言葉の応用力の低さなどがみられるため、境界知能児(者)においてもこういった特徴を呈することは十分に予想されます。
実際、境界知能を持つ子どもは平均的な子どもよりも1人遊びをし、仲間や集団遊びは少ないこと、平均的な子どもよりも表情を認識する力が弱いこと、また様々な社会での状況に対しては平均的な子どもに比べ受動的、もしくは消極的な対応を取ることが多いと報告されています。







