また一般人口と比較しても自殺行動のリスクが高く、背景には情緒のコントロールや問題解決能力の不足が影響している可能性があります。

 アルコールや薬物の使用率も高く、依存症のリスクも高いようです。しかし物質使用障害(SUD)の治療は境界知能の個人に適応されにくい傾向があります。

 他にも、境界知能を持つ人たちは、トラウマ的出来事の影響を受けやすく、PTSD(心的外傷後ストレス障害)を発症しやすいとされます。しかしPTSDを有する境界知能の患者には、適切な治療が提供されることが少なく、症状の慢性化も懸念されています。

 境界知能児も、同年代の子どもより、幼少期の逆境体験(ACE-I)に曝露する可能性が高く、幼少期のその体験が成人における精神疾患罹患率を有意に向上させているという報告もあります。

境界知能児の家庭では
子どもへの理解不足も問題に

 知的障害児を持つ保護者は、より教訓的で侵入的なスタイルで子どもとの相互関係を持とうとする傾向があるといわれています。それが子どもの主導性を阻害して子どもを受容的にしてしまい、動機づけの発達を妨げてしまうのです。

 一方で、境界知能を持つ保護者においては違った傾向がみられる可能性があります。

 というのも境界知能の子どもを持つ保護者は、子どもへの理解不足から、不適切な養育につながるリスクが高いといわれているからです。

 実際、平均的知能や知的障害を持つ子どもの保護者よりも積極的な関わりが少なく、かつ表に出る問題も多いようです。

 また境界知能を持つ母親が子育てをするような家庭のケースでは、妊娠中および出産後の、産後うつ病、不安、その他の気分障害などを持つ可能性も高いことが推定され、児童虐待につながるリスクもあります。いずれのケースも学業面だけでなく生活支援といった家族全体への支援が求められます。

新受刑者の約35%相当が
境界知能と想定

 これまでの海外の複数の研究報告で、矯正施設にいる成人・少年のうち、境界知能の割合は30~47%とされています。