「チクる」という行為への罪悪感を消す

この経験から、いじめ解決のために最も重要だと感じるのは、「被害者が『助けて』と言える環境を作ること」です。

子供のコミュニティにおいて、「先生や親に言いつける(チクる)」という行為は、卑劣で最低なことだという「掟」のようなものがあります。「チクったことがバレたら、さらにひどい目に遭う」「親に知られるのは恥ずかしい」という心理が働き、子供は口を閉ざしてしまいがちです。

だからこそ、大人がすべきことは、この価値観をアップデートしてあげることです。

「自分が嫌な目に遭ったり、誰かが酷い目に遭っていたら、すぐに言いなさい」
「それは『チクる』という悪いことではなく、正義ある行動なんだよ
「絶対に悪いようにはしないから、安心して私に話して」

親御さんは、日頃からこうした価値観をお子さんと共有し、「何かあったらすぐに親に言っていいんだ」という信頼関係を築いておくことが大切です。

「孤独への恐怖」から解放してあげる

いじめの根底には、「孤独」への恐怖があります。子供にとっての「1年間(1学年)」は、大人にとっての何年にも相当するほど長く、重いものです。その期間、クラスで浮いてしまったり、仲間外れ(村八分)にされたりすることは、彼らにとって絶望以外の何物でもありません。だからこそ、理不尽な扱いを受けても、グループから弾かれるのを恐れて我慢してしまいます。

ここでも大人のサポートが必要です。「もしグループから孤立しても大丈夫。環境は変えられるし、その孤独はずっと続くわけではない」ということを伝え、逃げ場所や安全基地を作ってあげてください。

孤独を恐れずSOSを出せる関係をつくる

いじめ(暴行や恐喝)を行っている加害者にとって、一番都合が悪いのは「大人の目に触れること」「公になること」です。SNSでの拡散が良いこととは言いませんが、「拡散されたら大変なことになる」という認識は、ある種の抑止力になるかもしれません。

子供の世界にはびこる「犯罪を矮小化してなあなあにする空気」を変えていくこと。そして、子供が「孤独を恐れずにSOSを出せる関係」を作ること。難しい問題ではありますが、これが私なりのいじめ対策の結論です。

※本稿は『精神科医Tomyが教える 1秒で不安が吹き飛ぶ言葉』(ダイヤモンド社)の著者による特別原稿です。