(2)42%がまるまる増えるわけではない
70歳まで繰り下げをすると、65歳からの受給額に比べて42%増額されます。ということはつまり年収が増えることになりますので、税金や社会保険料も同様に増えます。したがって42%がまるまる増えるわけではありません。
ではどれぐらいかというと、これは他の収入にもよるため、一概には言えませんがおよそ1割か2割ぐらいは減少しますので、手取りベースでは36~38%ぐらいの増加に留まると思います。
(3)遺族厚生年金は増えない
繰り下げして増額された年金を受け取っていた夫が亡くなって、妻が遺族厚生年金を受け取る場合、その額は夫が65歳時点での年金額をベースにしますので、繰り下げをしていても増えることはありません。
このように繰り下げの場合に注意しておくべきことはありますが、それでも人生の後半部分での安心感は大きいと思います。最初から「早くもらった方が得だ」と考えるのではなく、自分の状況に合わせて「繰り下げ」も選択肢として考えた方が良いのではないでしょうか。
年金の受給は
かなり融通の利く制度
それから、これは勘違いしている人もいると思いますが、年金の受給を遅らせるのに特別な手続きが必要なわけではありません。
65歳になる3カ月前に日本年金機構から「年金請求書」が送られてきますが、ここで何も手続きをしなければ自動的に受給時期は繰り下げとなります。「いつまで繰り下げる」ということも別に表明する必要はありません。66歳でも69歳でも、自分の好きなときに手続きをすれば良いのです。
それと支給請求の方法ですが、実は2通りの方法があります。
ひとつは給付額を増額で受け取る方法です。1カ月繰り下げるごとに0.7%ずつ増額されますので、5年繰り下げると42%増額ということです。
でももうひとつのやり方は、それまで繰り下げてきた期間の分をまとめて受け取るという方法です。
たとえば68歳まで3年間繰り下げしてきたとします。ところがその時点で何らかの事情でまとまったお金が必要になった場合は、それまで受け取っていなかった3年分の年金をまとめて受け取ることができるのです。







