財布のひもを緩めようとする企業から自衛しよう
《ポイントカードについては、ポイントカードを活用することで得られる企業側の効用を中心に、研究が多く行われてきた。具体的には、ポイントカードの活用は売り上げを高めること (Dorotic et al., 2014; Chaudhuri et al., 2019)、一定のポイントが貯まると特典が得られるタイプのポイントカードについて、あと少しで特典が得られる場合に消費者の購買量が高まること (Kivetz et al., 2006)(中略)等、様々な観点から知見が得られている》
ここで指摘されている「あと少しで特典が得られる場合に消費者の購買量が高まる」という現象こそ、まさに「不要購買」の正体である。
「あと100円でポイントが2倍になります」「あと50ポイントでランクが上がります」といった甘いささやき。これらは、本来必要ではなかったはずの商品を買い物カゴに追加させるための、計算された仕掛けだ。
消費者は、商品そのものの価値ではなく、「特典までの距離」を埋めること自体を目的に行動し始める。これは「目標勾配仮説」として知られる心理効果であり、ゴールが近づくほど行動が加速するという人間の特性を利用したものだ。
企業は親切心でカードを作らせるのではない。顧客をシステムの中に囲い込み、ゴール(特典)をぶら下げることで、必要以上の消費を強いるために、執拗に入会を迫るのである。
つまり、レジで勧誘されるポイントカードやアプリは、我々の自由な意思決定を歪め、財布のひもを緩めるための装置と言っても過言ではない。
であるならば、消費者は自衛せねばならない。無自覚なまま企業の戦略に乗せられ、不要なモノを買い込み、人生の貴重なリソースを浪費することは避けるべきだ。
基本的には、レジでの勧誘は断固として拒否する姿勢が、賢明な現代人のあり方と言えるだろう。逆に言えば、企業はなんとしても消費者にポイントカードをつくらせる必要がある。







