不毛な勧誘をスマートに断る方法
もちろん、私とて現代文明を否定する原始主義者ではない。全ての会員登録を拒絶しているわけではないのだ。
例えば、ユニクロのアプリは入れている。過去に購入した商品のサイズ履歴が確認できる機能は、再購入の際に試着の手間を省いてくれるからだ。
ゴルフショップの会員証も持っている。グローブのサイズや愛用しているボールの種類など、消耗品の規格を記憶させておくことは、買い物の効率を劇的に向上させる。これは「囲い込み」によるデメリットよりも、利便性というメリットが上回る稀有な例だ。
また、家電量販店のカードも例外的に所持している。10万円クラスの買い物をした場合、付与されるポイントの価値が無視できないレベルになるからだ。数万円分のポイントをドブに捨てるのは、流石に合理的とは言えない…もっと金持ちになったら拒否するかを考えよう。
しかし、これらはあくまで「例外」である。明確な利用目的と、得られるメリットがコスト(手間や個人情報、そして心理的な拘束)を上回る場合に限った話だ。
では、どうすればこの不毛な勧誘をスマートに断ち切ることができるのか。
多くの人が、角を立てずに断ろうとして失敗している。日本人の美徳である「察し」の文化は、マニュアル化されたレジ前では機能しないことが多い。
まず思い浮かぶのが「大丈夫です」という返答だ。
これは、非常に日本的で美しい言葉だが、レジにおいては悪手となる場合が多い。「大丈夫です」には「不要です(No)」という意味と「OK(Yes)」という2つのニュアンスが含まれる曖昧さがある。
また、単に「今は持っていない」という意味で「大丈夫です」と言っているのか、「作りたくない」から「大丈夫です」なのかが、相手には伝わりにくい。伝わりにくい、とはいえ絶対に店員には伝わっているはずである。ところが、「伝わっていないこと」にされてしまうわけだ。
結果、マニュアルを遵守する店員は次のように返してくる。
「では、無料ですぐにお作りできますが、いかがなさいますか。10ポイントをお貯めいただくと豪華な特典が…」と。これでは、断ったつもりが伝わっておらず、会話が振り出しに戻っただけだ。こちらの配慮が徒労に終わる瞬間である。







