という声がする。件のご常連がこんな一介の呑兵衛のことを知っていてお声がけしてくれたのであった。ロビンソン酒場で誰かに声をかけてもらうなんて、漂流してたどり着いた島に仲間が先にいたようなものである。ありがたくて乾杯させてもらった。
さて、このお店。まず気持ちいいのは部屋全体の照明なのであった。電灯色と昼光色の明かりがバランス良く配置されていて目が楽。加齢で老眼などがひどくなってくると、明かりは大事で、ギラギラしているとそれだけで疲れる。愛される店はこういうところから違うのである。
カウンターには長いガラスケースと水槽があり、水槽のなかにはなんと伊勢海老と楊貴妃の二の腕みたいに白くて太い貝と蟹が2匹もいる。ホワイトボードに伊勢海老刺しもあるから、注文したらコイツがたぶんまな板の上にのるのだろう。なんとなく今日は、生きているこいつを見ていたくて他のものをいただくことにした。
メニューは冊子と壁の札と両方あって、その数は50をゆうに超える。それを大将が1人でこなす。忙しいだろうから、順番をいろいろ考えて注文したほうがいいかな、といらぬ老婆心というか老爺心がわきあがるところ、ここは混んでいても魔法のように手際よく肴も酒もはこばれてくる。すごい。
美味すぎるツマミに
酒が止まらない
その日、まずは刺身の盛り合わせをお願いした。
1杯目に生ビールをいただくと、間違いなく手入れの行き届いたサーバから注がれたそれは、霊園とバス通りで疲れ切った体にしみわたり、そのまま昇天しそうだった。
ここからはじゃんじゃんいった。
酢の物、海老マヨネーズ、アジフライ、玉子焼き、牛肉握りに握り鮨……ロビンソン・ハンガー(長く歩いて腹が減ること)でこんなにも注文してしまった。
酢の物は、貝や光ものを優しい三杯酢であえてある。そのまま刺身で旨い材料を歯が悪くなりかけでもすいすいいけて、それでいて歯ざわりを楽しめる具の大きさの揃えかたが良い。残った三杯酢まで呑み干したくなった。そして、ここにも美しい花の飾り。







