高齢者がすごく得をしている
わけではない
これが80歳の人だと5.2倍になるのに対して、30歳の人の場合は2.3倍ですから、この倍率だけを見るとたしかに現在高齢の人の方が得をしているように見えます。「ほら見ろ、やっぱり高齢者の方が良い思いをしているじゃないか」と思うかもしれません。
でも、実際には決してそういうわけではないのです。この理由は図7をご覧いただくとわかります。
同書より転載
年金は“共助”の仕組みであり、公的年金制度がなかった時代は子供が親の面倒をみるという「私的扶養」の時代でした。
そして国民全員が加入する国民年金制度ができたのが1961年でした。先ほど「たくさんもらって良いなぁ」と思われる80歳の人は当時16歳でした。当然彼らの親は公的年金には入っていませんから、現在75歳以上の人たちは親を養いながら、かつ年金保険料も払うという言わば二重の負担をしていたわけです。
図7の下半分が年金制度による社会的な扶養で、上半分は家族による私的な扶養です。すなわち現在の高齢者が現役であった昭和30~40年代はまだまだ私的な扶養のウエイトが高く、年金制度による“共助”はそれほど機能していませんでした。
厚生年金保険料は、始まった当初は給料の3.5%でしたが、現在は18.3%になっています。
決して世代間不公平には
なっていない
しかし、二重の負担を強いることになる当時の若者(現在75歳以上の人)には公的年金の保険料をそんなに高く負担させることができなかったのです。
事実、65歳以上の人がいる世帯の内、3世代で同居している世帯の割合は1970年には44.4%でしたから、約半数近く、そして65歳以上で夫婦のみとか単身世帯は16.8%しかいなかったのです。







