AIバブルでは「計算能力を増やせばより賢いAIが作れる」という供給側のナラティブが支配的であり、人間の知性を超える「汎用AI」の開発を掲げる構想は、まさにその象徴といえます。
GPU資産は短命で
価格下落時の影響が大きい!?
ドットコム期には投資が通信インフラに集中しましたが、生成AIバブルでは高性能GPUやデータセンターなど計算インフラに投資が集まっています。したがって、バブルが崩壊する場合、通信インフラ過剰により収益が悪化したドットコム期と同様の「インフラ過剰→価格下落→収益悪化」の展開が予想されます。
ただし、生成AIバブルはGPU製造能力や電力供給能力という制約を受けます。GPUについてはTSMCなどが生産能力増強で対応できますが、電力供給については日本はもちろん米国でも逼迫しており、データセンターの新設は電力系統の接続待ちが積み上がっています(※4)。このため、電力制約によってインフラ過剰が抑制され、バブルの縮小規模はドットコム期より小さくなる可能性があります(※5)。
ドットコム期の通信インフラは資産寿命が長く転用も容易でしたが、生成AIバブルの中心である計算インフラは性質が異なります。データセンターの建屋や冷却設備は長寿命で転用可能ですが、高性能GPUは世代交代が18~24カ月と短く、陳腐化が早いことから(※6)、GPU資産は短命であり、価格下落時の影響が大きいといえます。アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)が2025年6月にGPU利用料を最大45%引き下げた事例(※7)などをみても、すでにバブル縮小の兆候が表れていたと考えられます。
※4 米国では接続申請から稼働までの待機期間の中央値は約5年とされ、日本はさらに長いと考えられます。
※5 電力料金が大幅に下がらないため、価格下落は緩やかですが、計算インフラ提供事業者の収益は悪化する可能性があります。
※6 高性能GPUは高温稼働により、CPUなどと比べて劣化率・故障率が上がる可能性があります。
※7 AWS公式ブログ 2025年6月5日







