社会的な「成功レール」の崩壊、どんどん不確実になる未来、SNSにあふれる他人の「キラキラ」…。そんな中で、自分の「やりたいこと」がわからず戸惑う人が、世代を問わず増えています。本連載は、『「やりたいこと」はなくてもいい。』(ダイヤモンド社刊)の著者・しずかみちこさんが、やりたいことを無理に探さなくても、日々が充実し、迷いがなくなり、自分らしい「道」が自然に見えてくる方法を、本書から編集・抜粋して紹介します。

どうしても「自分の強み」を信じられない人の共通点とは?Photo: Adobe Stock

どうしても自分の強みを認められないのは、なぜか?

 本書では、自分自身の「強みの種」の成長を阻害している原因をいくつか見てきましたが、そのさらに奥に、「根本的な理由」が隠れていることがあります。

 それは、「自分との信頼関係」が結べていない可能性です。

 自分を信じていないと、強みを活用することができません。

 ここでいう信頼とは「俺は無敵!」といったパワフルな自信ではありません。

自分がこの世の中にとって唯一無二の人間だと認識し、自分がこの世に存在していい人間だと信じることです。

「ダメなところも弱いところもたくさんあるけれど、いいところもちょっとはあって、これが自分なんだ」というレベルでもいいので、自分がこの世に存在する理由がある人間だと信じることです。

 自分がありのままの自分の存在を認めたとき、自分との信頼関係が結ばれます。

自分との信頼関係がないと、「強み」を認められない

 自分との信頼関係が結べていないと、いくら自分の強みを認めようとしても、心の奥底から、こういった声が聞こえてきます。

「自分は存在価値がない人間だ」
「本当の自分がバレたら見捨てられる」
「誰も自分を愛してくれる人なんていない」
「隙を見せたら、攻撃される」
「自分がこの世にいなければ、誰にも迷惑をかけずにいられるのに」

 こういう考えが浮かぶと、とても苦しいです。

 そんな自分から脱却するために自分の強みを知りたい、と考える方もいるのですが、順番は逆です。

 自分を信頼できないうちは、強みの種を見つけて一瞬は自信がついても、ちょっと何かが起きると疑ってしまい、「こんな強みなんて意味がない」と否定してしまいます。

自分との信頼関係は、親との関係が土台になる

 自分との信頼関係は、どうやって結べばいいのでしょうか。

この信頼関係を構築する過程は、生まれたときから始まっています。自分との信頼関係の土台には、親との信頼関係があるのです。

 生まれたての赤ちゃんは自分の感情を親に受け止めてもらうことで、親との信頼関係を育んでいきます。

 どんな感情でも受け止めてもらえて手助けしてもらえることで自分がこの世に存在していいと思えるようになります。

 その後、赤ちゃんが大人になり、親の手助けがなくても自分の判断で生きていけるようになると、信頼の対象が自分へと移ります。

 自分の力で自分の人生を歩んでいけるという思いが、自分との信頼関係を生み出すのです。

子どもの頃の不安を抱き続けている可能性

 しかし、親も完璧な人間ではないため、受け入れてもらえないときもあります。泣いても誰も助けに来てくれず、「うるさい!」と怒鳴られることだってあります。

 そういうことが続くと、子どもは、親に自分のことを受け入れてもらえるように、親の顔色を見て、親が喜ぶことをやろうとします。

 この状態が続くと、「寂しいけれど、我慢する」「欲しいものがあっても言わない」「弟や妹が大好きなのに、邪険に扱う」など、自分の本音に反したことをしてでも、親に見捨てられないようにします。

 幼い子どもなりの生存戦略です。しかし、この状態は、本当の感情を抑え込むことで成り立っているので、真の意味での信頼関係は築かれません。なので、常に恐怖心があります。

 本当の感情がバレたら、嫌われるのではないか、怒られるのではないか、見捨てられるのではないか……。

 そして大人になり、親に頼らず生きていけるようになっても、心にその影響が残って、本当の自分がバレたら誰かに嫌われるのではないか、怒られるのではないか、見捨てられるのではないかという恐怖心が、消えなくなることがあります。

 これが自分との信頼関係を結べていない状態です。

 この影響を取り除きたいのであれば、親との関係に立ち戻り、自分に恐怖心が生まれた原因と向き合うことがひとつの手です。ただし、この方法はさらに本が1冊書けるくらいの深い話になるので、ここでは割愛します。(ちなみに、私はこの恐怖心と向き合うために、「ビリーフリセット心理学」というものを学びました)

 本書では、いったん親との関係は横に置いておいて、自分自身で自分との信頼関係を取り戻す方法をこれから書いていきます。

*本記事は、しずかみちこ著『「やりたいこと」はなくてもいい。 目標がなくても人生に迷わなくなる4つのステップ』(ダイヤモンド社刊)から抜粋・編集したものです。