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上場企業の社長が手を染めたのは「禁断の錬金術」だった――。不正の泥沼にハマった企業は、監査法人にも見放され、上場廃止へと追い込まれていく。うそを塗り重ねた末路とは。詳しく見ていこう。(公認会計士 白井敬祐)
東証スタンダード上場企業が
「上場廃止」に追い込まれたワケ
今回の“事件”の舞台となったのは、東証スタンダード上場企業(当時)の「ピクセルカンパニーズ株式会社」。ITシステム開発から始まり、近年は太陽光発電やリゾート開発へと手を広げていた、一見すると成長意欲あふれる企業です。
しかし、その華やかな事業計画の裏側では、驚くべき「会社の私物化」が行われていました。
社長個人の借金返済のために会社の資金が流用され、実体のないプロジェクトが立ち上がり、ついには監査法人から「もう無理です」とサジを投げられる……。まるでサスペンスドラマのような展開が、実際に起こっていたのです。
なぜ一人の経営者の暴走を誰も止めることができなかったのか? そして、最後まで戦い続けた監査法人の「無言の抵抗」とは――。
この事件の全貌と人間ドラマをひもといていきます。
社長が借金を返すために手を染めた
「禁断の錬金術」とは?
事の発端は、2019年から2020年頃にさかのぼります。
当時、ピクセルカンパニーズ(以下、PXC社)を率いていた吉田弘明社長は、個人的な投資の失敗や資金繰りの悪化により、外部の金融業者(I社)から数億円規模という多額の借金を抱えていました。
一般のサラリーマンでは想像もつかないような金額の借金です。「返さなければ社会的地位も社長の座も失うかもしれない」というプレッシャーは、相当なものだったでしょう。
追い詰められた吉田社長が思いついたのは、決して手を出してはいけない「禁断の錬金術」でした。







