TOEFLの何がどう変わるか
激減し切り捨てられたのは…

 今回、最も大きく変わるのがスピーキングテストだ。従来の論理的な意見表明型問題が激減し、要約問題は切り捨てられ、代わりにリピーティング※問題が導入された。問題数と時間は次のとおり。

◆従来:4問/約16分
◆新形式:11問/約8分

 時間が半減し、問題数は増えた。11問のうち7問が「LISTEN AND REPEAT」と名付けられたリピーティング問題で3分程度。残る4問は、事前録音された質問に各45秒で即答する形式だ。

※リピーティングという言葉の定義にはいろいろあるが、本稿では「文字を見ずにいきなり音声を聞き、聞き終わった時点で、そっくり真似して発話すること」とする。

リピーティングが
「話せる力」を可視化する

 ETSがリピーティング問題に大きく舵を切ったのは、リピーティングが「話す力」の土台を簡単に測定できるからではないかと筆者は推測している。いずれにせよこのリピーティングの導入で、従来の「論理的な話し方」よりも、より「実践的な対応力」「高い瞬発力」が求められるようになった。

 リピーティング問題は一見すると単純だが、実際は、聞き取ってから発話で再現するプロセスにおいて以下のような能力が必要とされる。

1. 英語の音を正しく聞き取る能力
2. 文構造の即時理解力
3. 文構造の即時再構築力
4. とっさに口を動かす瞬発力
5. 発音・リズム感・イントネーション

 特に着目すべきは2と3、即時理解力と即時再構築力だ。

 脳のワーキングメモリで一度に保持できる情報の数は、一般に4プラスマイナス1程度とされている。英文を聞きとる際、文が長いと前半部分が音としては思い出せなくなるのはこのためだ。

 だからリピーティングにおいては最初から文の構造を瞬時に捉え、もしそれが長文ならば、音自体は思い出せなくても文を再度組み立てていけるようにスタンバイすることが重要になる。

 そして、文を即時に再構築して口に出していく時の「脳の働き」は、実践的なスピーキングと共通する部分が多い。この点においてリピーティングは、話す力の土台となる処理能力を測る有効な目安となっている。