文が長くなってくると、文構造を把握しつつ再現することが難しくなってくるのではないだろうか。そこでチャンクの出番だ。

 例えば、問題文6について。

 For those with children, we offer summer camps and educational opportunities.

 これを1語ずつ処理すると11語もの別の情報となり、脳のワーキングメモリは一気に限界を超える。しかし、下記のようにチャンク単位で捉えると、どうだろう。

●For those with children,
●we offer summer camps
(and)
●educational opportunities.

 チャンク単位で捉えれば、情報はたったの3個。処理は一気に楽になる。

 ネイティブ音声をよく聞くと、チャンク単位で発話していることに気づくだろう。ネイティブ話者は、チャンクを連ねて情報を足していく感覚で文をつむいでいる。英語独特のリズムは、チャンクごとに起きる音の強弱と発話スピードの差で生まれる「うねり」である。

 だから学習者も、ネイティブ音声のリズム感を真似てチャンクで英文を連ねていく感覚を体得しよう。そうすると、長い文も同じワーキングメモリ容量で処理できるようになる。メモリに入りきらないほどの長文も、文構造をチャンクの流れとして把握すれば見失わずに再現できるようになる。

 言い方を変えれば、長文をリピートできない人が流暢に話せるようになる可能性は低いのである。

TOEFL改革が
日本人に突きつけるもの

 日本の英語教育は長い間、文字からの学習に極端に偏重してきた。そのため、多くの日本人は話すポテンシャルがあるのにスピーキングが苦手なままである。

 言語の本質は「音」であることに立ち返ると、日本人に一番必要な訓練法はリピーティングだと筆者は考える。

 今回、TOEFLがリピーティング問題を大々的に採用した。日本人がフォーカスを絞ることで伸ばしやすい能力に、試験の重心が移ったと言える。日本人英語学習の再設計を迫るチャンスだと捉えたい。

英語力「最下位クラス」の日本人が〈一発逆転〉を狙える大チャンス到来のワケ