「わびさび」的な生き方とは?

そこで提案したいのが、「侘び寂び(わびさび)」的な生き方です。これは医学用語ではありませんし、明確な定義があるわけではありませんが、最近海外などでも注目されている考え方です。一言で言えば、「ありのままに物事を受け入れる考え方」です。

例えば、西洋の庭園が左右対称で幾何学的に整えられた「構築的」な美しさであるのに対し、日本の庭園(枯山水など)は自然の流れや不均衡さを重視します。また、欠けてしまったお茶碗を直して、その継ぎ目を「景色」として愛でるような精神もあります。

このように、不完全なものや自然な変化をそのまま受け入れる姿勢こそが、「わびさび」の本質であり、仏教的な思想にも通じるものです。

人間関係も「あるがまま」でいい

この考え方は、人間関係のストレスを減らす上でも非常に有効です。「友達だから誘わなきゃいけない」「親友なのにこんな扱いをするなんて」といった「こうあるべき」という完璧主義を持ち込むと、関係はギクシャクし、ストレスの原因になります。

そうではなく、「今は連絡したいからする」「今は疲れているから少し距離を置く」といった具合に、お互いの状態をあるがままに受け入れることが大切です。無理に型にはめようとせず、自然な流れに任せることで、人間関係はずっと楽になります。

傷もまた「歴史」として受け入れる

私自身の最近の体験ですが、玄関のオートロック機器を取り外した際、強力なテープ跡が残ってしまい、ドアに少し傷がついてしまいました。以前の私なら「新築なのに!」と完璧主義を発動させて落ち込んでいたかもしれませんが、今回はこう考えました。

「これも家の歴史だ。まあ、これはこれでいいじゃないか」

完璧に綺麗でなくても、その傷も含めて「我が家のありのまま」として受け入れる。そう思うと、不思議と気にならなくなるものです。

人生という自然を愛でる

人生もまた、自然の一部です。そこに「私の人生はこうあるべきだ」という完璧なストーリーを勝手に作り上げ、そこから外れることに不安を感じるのは、自分自身で苦しみを生み出しているようなものです。

人生の達人とは、「今」をあるがままに受け入れ、その中で楽しみを見つけられる人のことではないでしょうか。

今日から少しずつで構いません。頭の片隅に「わびさび的な生き方」を置いて、不完全な自分や現実を許してあげてみてください。そうすることで、不安はずっと軽くなるはずです。

※本稿は『精神科医Tomyが教える 1秒で不安が吹き飛ぶ言葉』(ダイヤモンド社)の著者による特別原稿です。