漁業も同様だ。1989年に38万人いた漁業者は、現在約12万人と医師の数よりも少なくなった。20代の漁業従事者は8%未満で、多くは後継者のいない高齢漁業者が占めている。沖合漁業で使われる20~199トンの漁船は2024年時点で約580隻と、30年間で約8割減った。
国内の生産がいま以上に縮小すれば、輸入品への依存率がさらに高まる。世界的に食料が枯渇する中、日本にいつまで入ってくるかわからない。さらにロシアのウクライナ侵攻のように、世界情勢が不安定になって海外からの供給がストップすれば一大事だ。農水省は2030年のコメや麦、大豆といった作物の耕地面積は2020年から34%減、さらに果樹は45%減と見込んでおり、より深刻な情勢だ。
日本の食の安全を脅かす
担い手不足の解決策
第1次産業の担い手不足は、日本の食料安全保障にとって最大のリスクになりうる。政府は2024年5月、食料・農業・農村基本法を改正し、食料安全保障を「良質な食料が合理的な価格で安定的に供給され、かつ、国民一人一人がこれを入手できる状態」と定義。その確保を基本理念として明記した。
有事の際には生鮮食品が手に入りにくくなるだけでなく、国産原料で国内生産するメーカーは加工品を生産できず、海外の工場も機能しなくなれば、日本はたちまち食料難に陥る危険性がある。手作業が残る農業を脱し、AIなど最新のデジタル技術を活用した「スマート農業」への移行を徹底できるかどうかも、国内の食料供給の持続可能性を左右する。
こうした中、限られた資源を有効に活用するスーパーマーケットも出ている。綿半ホールディングス傘下でグループの共同仕入れを担う綿半パートナーズ(長野県飯田市)は鮮魚の仕入れにあたり、契約した漁船が捕った魚を丸ごと買い取る「一船買い」を始めた。
新潟・直江津港で水揚げされた魚は当日昼前に長野市内の店舗に到着。カマスやアマダイとともにウマヅラハギなどの珍しい魚も売り場に並んだ。通常の漁では、規格外の魚や一般に知られていない魚は市場に出せず、廃棄されることが多い。







