報道によれば、SNS上のデマにより、福岡市に電話やメールでの抗議が50件ほどあったのだという。実際にこれまでの報道では、家賃を滞納していたという情報はあるものの、「生活保護」や「餓死」に関して触れられたものはない。ではなぜ、デマが広まっていったのか。

テロップは「無理心中」なのに「餓死」
雑すぎるフェイク動画

 今回のデマは、XやTikTok、YouTubeなどで拡散された。

 これまでも震災時などにデマが飛び交うことはあったが、今回特に特徴的だったのは、動画でデマが拡散したこと、そしてその動画がAIで作成されていると思われることである。

 いくつかの動画を確認したが、一見して大変雑なつくりであることがわかる。そのあまりの雑さに驚いた。

 まずTikTokで拡散されている動画の一つは、今回の福岡市のニュース動画が使われ、そのテロップには「無理心中か」という文字も確認できる。にもかかわらず、動画のナレーションと字幕では飢餓と脱水で死亡、と説明されているのである。

 母子の年齢なども異なり、母親は28歳、「4歳のお兄ちゃんと3歳の妹」などと紹介されている。2026年1月6日の発生という日時だけは合っているものの、その他の情報はほぼ間違いである。

 動画は1000回以上シェアされ、2000件以上のコメントがついていた。コメントは「何のための税金なんだよ」「福祉課や役所はお咎め無し?」などデマを信じ込んだものがほとんどで、「外国人には簡単に支給するのに」「●●人には生活保護出すくせに」など、外国人は生活保護を受給しやすいという別の間違った情報を重ねたコメントも見られる。

 なぜこんなにも簡単に多くの人が騙されているのかといえば、一つはエピソードが細かいことだ。

「夜逃げだと思って職員が訪れたところ、室内は整頓されていた」「布団に横たわっていた子どもの顔は穏やかだった」「遺書の内容は『ごめんなさい、一食のまともなご飯すら食べさせてあげられなくて』」など、まるで見てきたかのごとく情景が語られている。

 報道では遺書は見つかっていないとあるし、それ以外もソースが確認できない内容である。