クローズアップ商社Photo by Yuji Nomura

「ハローキティ」や「ポムポムプリン」で世界に名をはせるサンリオの勢いが止まらない。2025年3月期決算で自己資本利益率(ROE)は48.6%、売上高は前期比44.9%増の1449億円と、好調が続く総合商社を凌駕(りょうが)する成長を果たした。セクター上は卸売業だが、同社はエンターテインメントの力で業種の枠にとどまらない次なる一手を模索する。この勢いはどこまで続くのか。長期連載『クローズアップ商社』本稿で同社経営管理本部長の松本成一郎常務に聞いた。(聞き手/ダイヤモンド編集部 猪股修平)

卸売業の枠を超えたエンタメ企業
高ROEを支えるライセンスの魔法

――総合商社vs専門商社vs卸「経営力」ランキングにおいて、総合商社を抜いてトップに立ちました。受け止めは。

 われわれには「卸売業」という発想は全くありません。実態は卸業種ではなく、エンターテインメントです。そういう意味では、エンタメ界や日本企業全体の中での位置付けを常に気にしています。

 自己資本利益率(ROE)は、2024年度で言えば50%弱ほどあり、圧倒的に高い水準です。投資家と話す際もそこは非常に意識しており、「サンリオの強みは何か」と問われれば「資本効率が非常に良い会社である」と答えています。そこは元々われわれの売りにしていた部分ですので、今回の結果も違和感なく受け止めています。

――卸売業としてではなく、エンタメの業種としては具体的にどういった企業を意識されているのでしょうか。

 広く挙げれば、ソニー、オリエンタルランド、バンダイナムコホールディングス、東映アニメーション、KADOKAWAなどです。

 その中でもわれわれのROEは非常に高い。元々は物販から始まった会社なので、業種分類上は卸売業に入ってしまっていますが、正直なところ普段の経営で「卸売業」とは考えていません。

――営業利益率やROEが他の専門商社や総合商社とは水準が異なります。改めて、その数字の背景について教えてください。

異次元の数値をたたき出した背景にはサンリオ特有のある発想があった。次ページでは急成長の理由と成長後の勝ち筋を松本常務が明かす。