その人の発言は、トゲがなく、柔らかく聞こえるので、周囲から納得や共感を引き出して、結果的にチーム全体の強力な推進力につながっていくのです。

「敵を作らない人」になる3つのポイント

 では、実際にどうすれば「敵を作らない」しなやかな働き方ができるようになるのでしょうか?

(1)思考法~どんな「前提」で物事を捉えるか~

 同じ出来事でも、「どう受け取るか」によって、心の反応やその後の行動は大きく変わります。たとえば、相手の言動を「否定された」と感じるのか、「意見が違うだけ」と捉えるのか。この少しの捉え方の違いで、関係性の未来は大きく変わってきます。

(2)しなやかなバランスのとり方~論理と感情、自分と他者の間をどう動くか~

 論理ばかりに偏っても、感情に振りまわされすぎても、良い人間関係は築けません。

 また、「自分を押し殺して相手に合わせる」か「自分を貫いて相手をねじ伏せる」の二択でもありません。

 敵を作らない人は、「感情」と「論理」、「自分」と「他者」、それぞれの間を“バランスよく行き来できるしなやかさ”を兼ね備えています。

 それぞれに偏ることなく中立でいる必要はなく、「どちらにも偏りすぎない」、たとえ偏っても「その偏りに気づいて調整できる」ことが大切なのです。

(3)関係性の築き方~どんな「姿勢」で人と関わるか~

 敵を作らない人は、コミュニケーションのベースに「関係性の構築」を置いています。一方的に主張するのではなく、まず相手の話を受け止め、必要なときに柔らかく伝える。自分の正しさを押しつけず、相手の立場にも思いを巡らせる。そんな関わり方に、人は自然と心を開いていきます。

 重要なのは、相手に「何を言うか」より「どう関わるか」。

 相手に「何を伝えるか」より「どう伝わるのか」。

 同じ指摘だとしても、相手との関係性ができているかどうかで伝わり方は180度変わります。敵を作らない人ほど、“伝える前に関係を築く”という意識を持っているのです。

 この3つを育み習慣化していくことで、「敵を作らない働き方」は、誰にとっても再現可能な現実になっていきます。