トヨタのできる社員がやっている、社内外の敵を味方につける「相槌」と「接続詞」の使い方チームの中に自分と「価値観が合わないな」という人がいると、それだけでストレスを感じてしまう。相手の意見に、つい「でも」や「しかし」「そうなんですけど」と反論したくなるが……(写真はイメージです) Photo:PIXTA

いまや仕事の多くは、「自分一人の力」だけで成し遂げられるものはありません。自分の部署や部門の上司や先輩、同僚はもちろん、他の部署や部門とも連携しながら取り組むことが求められています。そこで前回に引き続き、森琢也氏の新刊『トヨタで学んだハイブリッド仕事術』(青春出版社刊)から、仕事の成果を最大化・持続化させるために重要な、戦略的に周囲を巻き込むトヨタ流コミュニケーション術について抜粋して紹介します。

意見が合わない相手をも味方に巻き込む話し方

 仕事で大きなプロジェクトに取り組むときなど、チームを組んで対応することもあるでしょう。そんなとき、チームの中に自分と「価値観が合わないな」という人がいると、それだけでストレスを感じてしまいます。相手の意見に、つい「でも」や「しかし」「そうなんですけど」と反論したくなってしまうこともよくあります。

 特に仕事の場面では“合わない”相手ともうまくやっていかなければと思い、相手の話を「聞き入れよう」、相手のことを「少しでも受け入れよう」と無意識に頑張ります。そのせいか、「そこは納得できるが、でも、しかし、ちょっと待てよ……」と考えてしまい、いわば「心理的なアレルギー反応」を起こしてしまう場面も生まれます。

 こうした価値観の異なる人は、極力避けてやり過ごしたいものですが、同じ職場やチームのメンバー、重要な取引先相手であればそうはいきません。むしろ、そんな人でさえも自分の味方に引き込んでしまうような人間関係を構築することが大切です。

 実際にトヨタグループで仕事ができる人たちは、こういったコミュニケーションがとても得意でした。具体的に、どのように対処していたのか? 私が上司や先輩から学んだポイントは、意見や価値観の異なる相手の話は「受け入れる」のではなく、「受け止める」、という対応です。