サンオーイ。南関東の三冠馬で、鳴り物入りで中央入りしたがビッグタイトルには手が届かなかった。佐橋は中央から地方に戻るときにトレードで手に入れている。
このコレクションにオグリキャップの名前が加わるのだが、なにかトレードのこつがあるのか佐橋にたずねた。
「こつなんてありません。ただ、運がよかったんでしょうね。見て、フィーリングが合った馬がよく走りましたから」
オグリキャップの可能性を信じて
佐橋は馬主と調教師を口説いた
そう言う佐橋が、はじめてオグリキャップを見たのは2歳の8月ごろだったという。
「笠松競馬場というのは小回りで直線が短いでしょう。そこを3~4コーナーでいい脚を使って追い込んでくるんです。それを見て、これは、と思いましたね」
佐橋が見たのは安藤勝己がはじめて乗った秋風ジュニアだろう。このときの走りを見てオグリキャップの素質と可能性に惚れ込んだ佐橋は、それからは笠松に行くたびに小栗孝一(編集部注/馬主。オグリキャップの初代オーナー)と鷲見昌勇(編集部注/農家。調教師としてオグリキャップを管理)に会い、ふたりを口説いていく。佐橋は言った。
「トレードの話は方々からきていたようです。クラシック登録(編集部注/牡馬は皐月賞、日本ダービー、菊花賞。牝馬は桜花賞、オークス。この“3歳馬5大特別競走”に出走するための登録と、登録料の支払いを済ませたことを指す)をしてないのも最初から知っていました。いまさら残念がっても仕方ありませんし、古馬になってG1を勝ってくれればと期待しているんです」
G1というのは中央入りして2連勝したから言えたのだと思うが、クラシック登録がなくてもトレード話がいくつも舞い込んでくるなかで、佐橋が小栗に会うたびに「馬の将来のためには中央に移籍させるべきだ」と訴えていると、小栗の気持ちも揺らぎはじめ、ついに売却を決心する。
売却額は2000万円だったと伝えられるが、正確なところはわからない。







