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少子高齢化とシニアの高い投票率を背景に、政治が若者や現役世代よりもシルバー世代の意向や利益を優先しがちになる現象を、「シルバー・デモクラシー」(シルバー民主主義)という。特に選挙の際には注目される。だが、社会保障の給付と負担についての内閣府調査では、高齢者たちの本音は意外なところにあった。政治学者の筆者によれば、コトはそう単純には語れないようだ。※本稿は、鵜飼健史『民主主義の死角』(朝日新聞出版)の一部を抜粋・編集したものです。
高齢者層の政治力と
高齢者向け予算の因果関係は?
SD(編集部注/シルバー・デモクラシー)を悪とする認識は、学的な議論でも定着してきている。
ポイントは、形式的な定義と実質的な定義の架橋にある。たしかに、高齢者は人数が多く、その投票率も高いので、政治世界での高齢者の参加は分厚い。
こうした状態は、高齢者層の影響力の強さと表現できそうだ。他方で、高齢者を主な対象とした公的支出も巨額で、それが予算全体を圧迫しているのも事実だろう。
だが両者が因果論的に接続するかは、慎重に判断されなくてはならない。高齢者が増えてきているという社会的な事実があるため、高齢者向けの予算が厚く組まれるということは、どの政治体制であっても当然だろう。
すなわち、高齢者の数的な増加と高齢者向け予算の増加の間に、民主主義が介在するかが焦点になるはずだ。そもそも日本の政党政治は、国民の多数派の意見を素直に聞いてくれるような政治だっただろうか。







