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スポーツベッティングの拡大とともに、選手が暴力的な言葉を浴びる事態が増えている。確かにスポーツベッティングは新しい面白さを提供したが、その裏でアスリートは投機商品のように扱われ、命の危機まで感じている。スポーツベッティングがアスリートを壊す日は、そう遠くないのかもしれない。※本稿は、相原正道著『スポーツと賭博』(新潮社)の一部を抜粋・編集したものです。
まるで負けた競争馬のように
罵声を浴びせられるアスリート
スポーツ競技がベッティングの対象となると、選手個人へのプレッシャーは大きくなる。
かつて、アスリートにとって最も恐れるべき批判は、スタジアムやアリーナなどの観客席から浴びせられる野次だった。
しかし現代では、その観客席がSNSへと拡張されている。SNS上では、賭けに負けたファンが選手に罵声を浴びせる事例が報告されている。
NBAの選手はスポーツベッティングの対象になったことにより、シュートを外したら即炎上、退場すれば計画的犯行と断定されるといった現象に日常的に直面している。選手本人のインスタグラムにダイレクトメッセージで中傷が届くのみならず、家族や恋人のSNSにまで波及することも珍しくない。
メッセージの送信元は、匿名のまま暗号資産で賭けを行う外国人というケースも少なくない。これはスポーツ選手が――個人でありながら、巨大な投機商品の一部として扱われていることの表れにほかならない。
MLB投手が早期対策を
コミッショナーに直訴
そのような中、MLBレッドソックスのルーカス・ジオリト投手は、スポーツベッティングの隆盛により選手やその家族が脅迫される事態が増えているとし、MLBコミッショナーのロブ・マンフレッドに直接懸念を伝えた。







