初々しさは作為的に作れるものではない

悔しさみたいなものをどういうふうに自分の中でいいふうに昇華する?
「悔しい気持ちももちろん感じることもありますが、だったら自分が次、どうしたらいいかっていう発想が先に来るタイプというか、何をどうしたらより良くなるのか、次に進めるのかっていう方向へ、めげずに頑張りたいなというふうにいまは思っています」
とてもさわやかな回答をしてくれた濱さん。だからこそ庄田がひじょうに感じよく見えたのだろう。
「庄田には初々しさが大事だと思ったので、どうやって出そうかと考えたところ、作為的に作れるものではないということに行き着きまして。事前にこう演じようと思って現場に臨まず、現場でどうなるのか。その初めて感を大事にしました。
だからけっこうリアルな感じになったのではないでしょうか。とにかく嘘のないように、一瞬一瞬、初めてを感じて反応することを最も意識しました」
準備に余念なく、英語も事前にオンラインの英会話教室に入った。ところが現代の英会話と明治の英会話は違うことがわかり、すぐにやめたと笑った。
「大事なのは情報や気持ちを伝えるコミュニケーションなのだと感じました」という濱さん。英語のみならず、セリフもそうだった。
「今回は、英語に限らず、台本でやるべきことを確認したうえで、あまり用意しすぎず、現場で思いつくことをやってみようと思いました。
僕は途中から参加だったので、この現場はどんな感じなのかなと探り探りやっていたら、髙石あかりさんもトミー・バストウさんも円井わんさんも台本を超えて、自分の言葉になっていて。間やちょっとした言い回しが変わっていても伝わるものがあるほうがいいんだろうなと感じました。
ただ、自分は仕掛けるよりも仕掛けられてあたふたするって感じでしたけれど」
髙石さんとトミーさんののびのびしたアドリブに濱さんは驚いた。例えば、第84回。虫の声を聞きながら、その「スイッチョン」をトキが「好いっちょん」と言い換えて庄田をからかう。
「台本にない『スイッチョン、好いっちょん?』みたいに聞かれるところは髙石さんとトミーさんのアドリブで(※第85回の台本にあるスイッチョンに好いっちょんをかけているらしきセリフがあるため髙石とトミーがそれを先取りしたのだろう)、出来上がった映像を見たら、なかなかカットがかからないから、『僕、どうしていいかわかんない』という顔になっていて。僕は困ったとき、こういう顔になるんだなと発見しました(笑)」
濱さんの人柄も含め、とても好青年な庄田だが、サワは彼のプロポーズを断ってしまう(第85回)。なかなか衝撃的な展開だった。
「順撮りではなくて時系列をばらばらに撮っているのですが、プロポーズのシーンはサワさんとの時間を重ねた上で撮影に臨めたので、それまでのことを思い巡らせたりしながら現場に行ったのを覚えています。
かっこよく決めようと思っていたのに、白鳥倶楽部で2人きり。夕方の薄暗く静かな雰囲気も相まってかなり緊張しまして、手が反り返るぐらいでした(笑)。
走って部屋に急いで入ってきて『息が上がる』と台本に書いてあったので、どうしようかな、実際に走っていこうかなと思ったのですが、動線も狭いので息を止めて現場に臨んだら、思いのほか本番までに時間がかかって、本当に息が上がって。本番でものすごく水を飲んでしまいました(笑)」







