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人間と野生動物の関係は、共存という言葉だけでは語りきれない。両者は食料や生活をめぐって長いあいだ衝突を繰り返してきたという。動物の個体群動態について長年研究をつづける齊藤 隆氏が、野生動物が「敵」や「競争相手」と見なされてきた歴史を人類史からひも解く。※本稿は、北海道大学北方生物圏フィールド科学センター名誉教授の齊藤 隆『動物たちの「増え過ぎ」と絶滅を科学する』(ミネルヴァ書房)の一部を抜粋・編集したものです。
江戸時代に行われた
イノシシ根絶プロジェクト
野生動物は、ヒトがホモ・サピエンス(学名、Homo sapiens)として誕生した時から、食物や道具の材料となる資源でした。また、時には、同じ資源を奪い合う競争相手であり、自分や仲間を襲う敵でもありました。
両者の力関係は、はじめの頃は、野生動物の方が勝っていたようですが、ヒトがアフリカを出て、世界各地に広がる頃(5万年から7万年くらい前だと推定されています)には、ヒトの力は侮りがたく、やがて、野生動物を圧倒するようになりました。
「猪鹿逐詰(いじかおいつめ)」について聞いたことがあるでしょうか。対馬藩が元禄時代に行ったイノシシ根絶プロジェクトのことです。
対馬は九州と朝鮮半島の間に浮かぶ国境の島(面積は約707平方キロメートル)で、今は長崎県の一部になっていますが、江戸時代は独立した藩(佐賀県の一部も治めていました)で、朝鮮通信使を迎えるなど外交の仲介者としての重要な役割を担っていました。







