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野生動物の個体数が増えると、しばしば「増え過ぎ」という言葉が使われる。だが、その基準はどこにあるのだろうか。「増え過ぎ」と見なされる背景には、科学的判断と同時に人間社会の事情が深く関わっているという。※本稿は、北海道大学北方生物圏フィールド科学センター名誉教授の齊藤 隆『動物たちの「増え過ぎ」と絶滅を科学する』(ミネルヴァ書房)の一部を抜粋・編集したものです。
野生動物を振り回してきた
人間たちの乱獲と禁猟
乱獲と禁猟に振り回された野生動物は少なくありません。身近な例としてエゾシカを取り上げましょう。
エゾオオカミが家畜を襲ったのは、生息地である森林の傍で格好の餌食が「供給」されるようになったためですが、主要な餌動物だったエゾシカの激減も大きな原因でした。
富国強兵を進める明治政府は軍艦や大砲などを欧米から買うための外貨が必要でした。北海道の開拓使は輸出産業を興すために様々な事業を始めます。北米もそうですが、多くの開拓地でまず目を付けられるのが野生動物です。
原野には多くの野生動物がいますし、人ずれもしていないので、捕獲も容易です。輸出を考えるのなら、保存ができ、加工に大掛かりな設備が要らない毛皮が手っ取り早い製品でした。
開拓使の「陸産表」には、1872年にエゾシカの毛皮4008枚を売り上げたという記録があり、翌年には10倍以上の5万5046枚、1875年には7万6422枚へと生産枚数が増えています。







