捕獲数は生息数を反映していると思われがちですが、注意が必要です。捕獲努力量(エゾシカの場合は狩猟者数と狩猟に出た日数で評価できます)が変わらないならば、捕獲数の変化は生息数の変化を反映しているでしょう。
エゾシカの捕獲数だけでは
生息数が出せない理由
しかし、捕獲努力量は人間の都合で大きく変わってしまいます。先に紹介したように明治期のエゾシカの毛皮の生産数は1年で10倍以上に増えています。
個体数が1年で何倍にもなることはエゾシカの繁殖率では不可能なので(成獣メスはまれに双子を産むことはありますが、普通は1年に1頭しか産みません)、この増加は捕獲努力量が増えたことを意味しています。
一方、毛皮の生産数は1875年をピークに減り始めますが、これを捕獲努力量が減少したからだとは説明できません。この時にはエゾシカは毛皮だけではなく肉としても売れるようになっていたので、捕獲意欲は高まっていたと考えられるからです。
捕獲数よりも信頼できるデータが必要です。シカの数を直接調べなくてはなりません。どうすればよいのでしょう。
シカ類の生息数の調査方法はたくさんあるのですが、エゾシカの個体群管理には長期間、広い範囲をカヴァーしたデータが必要なので、スポットライト調査法が良いと判断されました。
スポットライト調査は夜、牧場脇の農道などを自動車で走り、観察できたシカを数え上げていく方法です。
大型の自動車に乗ってゆっくりと進み、後ろの席に座った観察者がスポットライトで牧草地などを照らしていきます。そして、光る眼を見つけたら、エゾシカなのか別の動物(キツネやウサギなど)なのかを区別し、記録していきます。
多くの夜行性の動物の眼は光ります。網膜の後ろに反射板(輝板)が付いているからです。網膜の視神経を刺激しながら入ってきた光を反射して、網膜に返すことで、暗い時でもよく見えるようになっています。シカの眼は白っぽく、キツネやウサギは赤味がかって見えます。
横道にそれますが、フラッシュをたいて写真を撮るとヒトの眼が赤く写ることがありますね。ヒトには輝板はないのですが、強い光にあたると網膜が光を反射します。







