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*本記事はきんざいOnlineからの転載です。
長い支払期間と厳格な解雇規制
今回は、多数国取引が主流である日本・イタリアと、1行取引が一般的な米国との対比を通じ、多数行取引がもたらす課題と今後の示唆を整理する。日本とイタリアは共に多数行取引の典型国であり、その共通要因として、まずは「企業間決済の支払期間が長い」ことが指摘できる(図表)。
実際に日本の商取引は、支払いサイトが長い。これは江戸時代の商習慣の名残であり、当時のツケ払いの決済はもともと年2回、後に年4回に改められた。この影響で、わが国では6カ月超の約束手形が使用されてきた。中小企業庁のアンケートによると、2020年度時点で現金振り込みの支払いサイトは約50日、約束手形は約100日だった。
イタリアも欧州主要国の中で決済期間が最も長い。ヨーロッパ中小企業白書(03年版)によれば、支払いサイトと遅延日数を合計した期間はイタリア87日、フランス56日、ドイツ40日であった。これ故、日本とイタリアの中小企業は決済期間が短い地域に比べ、借入れで運転資金を確保する必要性が高い。
さらに、日本とイタリアは米国と比べると解雇規制が厳しく、不況期には雇用維持の資金負担が大きくなる。中小企業は資金繰りが繁忙になりやすく、多くの銀行と取引することで資金調達の道を広げようとすることになる。銀行側も通常の財務諸表のみではリアルタイムの資金繰りの状況を把握することはできないため、こうした企業に1行で融資を行うことにはリスクを伴う。








