預金通帳写真はイメージです Photo:PIXTA

全般に追い風環境だが
個別行間には格差も

 11月中旬に公表された今年度上半期(4~9月)中の国内5大金融グループ(三菱UFJ・三井住友・みずほ・三井住友トラスト・りそな)の純利益は、合計で3兆円を超えた模様だ。

 その一方で、特に地方部に拠点を構えて地区内の事業者や個人と取引する地方銀行・第二地方銀行(以下「地銀・第二地銀」とする)は、少子高齢化や事業者減による過疎化などの影響をマクロ的に受ける。

 2025年の元旦には、経営効率化などを目的に旧青森・みちのく銀行が合併して青森みちのく銀行が誕生しただけでなく、旧愛知・中京銀行の合併によってあいち銀行も誕生した。これらの合併により、地銀・第二地銀は97行まで減少した。

 今回は、これら97行の決算短信より、地銀・第二地銀を取り巻く大まかな動向を掴んでみたい。

預金+譲渡性預金を
上回った貸出金の伸び率

 預金残高は、現金の払い戻しや口座振替、貸出金への返済(充当)などに加え、個人の逝去や会社の倒産・廃業・事業休止なども減少要因となる。それゆえに、銀行目線で残高を減らさぬためには、既に取引のある先に追加預入を求めるほか、新規取引先を開拓する必要がある。貸出金も、黙っていれば返済分だけ残高が減っていくため、事情は預金と同様だ。

 このため行員の日常は、このような営業(つまりは商品やサービスの紹介・勧奨)活動が多くを占める。決算は、そうした結果が数値に現れたものだ。

 最初に、それらの合計額を示す[図表1]。先に挙げた青森みちのく銀行は、合併前の24年9月期から預金残高などを公表していなかったため、旧2行分の合算値も算出できない。よって、単純合算値と同行分を除いた96行ベースの数値を併記した。

 結果は、譲渡性預金以外の数値がいずれも前年より伸びた。内訳では、貸出金の伸び率が預金・譲渡性預金の合計を上回った。地銀・第二地銀の営業活動が、「販売」に当たり相対的に手間が掛かる融資に、より重きを置いて展開されたとみられる。