米国でいわれる本当の
ブルーカラー・ビリオネアとは

 というのも米国では、電気工事や配管、空調などの会社は家族経営が中心で小規模事業者が多かった。日本と違うのは、米国の場合、プライベート・エクイティ・ファンドが次々とそれらの企業を買収していったことだ。

 プライベート・エクイティ・ファンドとは、ごく簡単にいえば未上場企業を買収し、転売することで稼ぐファンドだ。高度資本主義の米国では、すさまじい勢いで地場の小規模事業者が統合し、経営を合理化していった。IT化が進み、利益率が向上し、結果的に労働者の待遇改善につながった。

 さらに起業した、または事業承継した小規模な工事会社を売却したことで、文字通りビリオネアになる人物が続出している。これが本当のブルーカラー・ビリオネアだ。

 なお、この言葉はトランプ米大統領が広めた言葉といわれる。自身は親から継いだ不動産ビジネスで成功した一方で、トランプ氏は現場のブルーカラーとの連携を強調してきた。「ブルーカラーの気持ちが分かる金持ち」とまで自称している。もちろん、支持率を増やし盤石にするためだ。さらには民主党的なホワイトカラーとの対決を意味する。

東北の建設現場で日当8万円
超人手不足で賃金高騰

 日本の話に戻ろう。サプライチェーンのコンサルタントである筆者が2024年、東北のある県で実際に体験した話だ。通常ならば、調達品をいかに効率的にかき集めるかが焦点になる。しかし、プロジェクトの後半から、やや事情が異なってきた。「急がなくていい」というのだ。なぜか。

 調達品が集まっても、空前の人手不足で工期が遅延しているという。現場に全く人が集まらない。協力会社から作業員を集めてもらうも、県内からは絶望的。だから遠くの県から高い費用をかけて集めるしかない。宿泊場所も提供する上で、ひとりに支払う金額はなんと1日8万円。ホワイトカラーの賃金よりもはるかに高い。

 ちなみにその後、「一般人が稼ぐ方法」というテーマでテレビの取材を受けた。私は迷わず、「建設現場です」と熱弁を振るった。

 しかし、どうやらフードデリバリーやネットを使ったせどりなどを想定していたらしい。「もっと面白いのありませんかねえ」と返された。「いやいや、すごく稼げますよ。この目で見たんだから」と言い返すも、「もっとテレビ的に『絵』になるものはないですか」と……。残念ながら、私のエピソードは響かなかったようだ。