つまり、ネットやSNSで一家の両親をこき下ろして「思い知ったか!」と正義に酔いしれていた皆さんは、“演出VTR”にまんまと一杯食わされて、虚構のヤングケアラー問題で大盛り上がりして結果、侮辱罪や名誉毀損という違法行為に手を染めてしまったのである。

「いやいや!今の話を聞く限り、こんなもん演出じゃなくてヤラ…」という言葉が喉に出かかった人も多いだろうが、『探偵!ナイトスクープ』側からすれば、それだけは意地でも否定しなくてはいけない。

「家事育児を押し付けられて疲れ切った長男」を探偵が救う、というドラマのために“ヤラセ演出”をしましたと認めてしまうと、人気長寿番組の存続にも関わるし当然、管理責任で朝日放送上層部のクビも飛ぶ。

 なぜかというと、フジテレビの「テラスハウス問題」と結びつけられて、テレビ業界全体の信用毀損にまでつながってしまうからだ。

 2020年、リアリティー番組「テラスハウス」のなかで他の出演者に対して、ひどい態度をとったことから、出演していたプロレスラーの木村花さんがSNSですさまじい誹謗中傷を受け、自ら命を絶ったことは記憶に新しいだろう。

 実はこの時も番組側に「演出」という名のヤラセがあったという疑惑があった。木村さんの母が、娘が番組側にヤラセをあおられたというようなことを生前に語っていたと訴えたからだ。

 フジテレビ側はこれを否定。BPO(放送倫理・番組向上機構)も放送倫理上の問題があったとしたが、人権侵害があったとまでは断言できないとした。

 しかし、リアリティー番組の制作に関わる人々が次々と「演出はある」と告発していることで、番組を盛り上げるため、意図的に木村さんをヒール(悪役)にしようという「演出」があったという疑念は未だに燻っている。

 実は今回の「探偵!ナイトスクープ」も本質的な問題は同じだ。

 番組側が最後のシーンに母親の「米炊いて、7合」という声をインサートしたことで、彼女は視聴者に憎まれるヒール(悪役)になった。