『ドラゴン桜2』(c)三田紀房/コルク
三田紀房の受験マンガ『ドラゴン桜2』を題材に、現役東大生(文科二類)の土田淳真が教育と受験の今を読み解く連載「ドラゴン桜2で学ぶホンネの教育論」。第121回は、学校や塾が公表する「合格実績」について考える。
「合格者数」「合格率」を、どこまで信じるか
生徒たちを志望校に合格させるため、龍山高校の教師たちは入試本番に向けて気を引き締める。以前は龍山高校の進学校化に反対していた龍野久美子・理事長代行も一転して「いずれは東大合格者100名!」と豪語するのだった。
ここ70年ほどで、東京大学に100人の合格者を出したことがあるのは、都立日比谷、都立戸山、都立西、筑波大附属駒場、筑波大附属、学芸大学附属、灘、麻布、開成、ラサール、桐蔭、聖光といった、わずかな高校に限られている。
受験シーズンが終わると、合格者数に関する様々な数字が世間をにぎわせる。東大合格者数が多い高校ランキングや○○塾から××中学に何人合格者がでた、など多くの情報が飛び交う。当然、合格者数が多い学校や塾に行きたいと思う人は多いだろう。
だが、これらの数字はどこまで鵜呑(うの)みにしていいのだろうか。当然、合格者数だけではなく合格率を見る必要がある。だが、この「合格率」という言葉は単純だが曲者(くせもの)だ。一体どこまでを母数に含めればいいのだろうか。
学校は卒業生数が明かされていることが多いため、合格率を割り出すことは困難ではない。だが、いくつか注意すべきことがある。まずは、「特進コース」などの存在だ。学校によっては入試や進級のタイミングでコース分けをしているところがある。
たとえば1学年に300人所属していて、5人の東大合格者を出した学校があるとしよう。ただ、実はこの5人全員が1クラス30人の特進コースに所属していたのだとしたら、進学率をどう評価するべきだろうか。
あるいはコース分けをしていなくても、習熟度別にHR(ホームルーム)クラスを設置している学校もある。当然、上のクラスほど進学実績はいいだろう。さらに、浪人生を考える必要もある。合格率が同じだとしても、そのばらつきが一様とは限らないのである。
結局大事なのは「何人受けたか」
『ドラゴン桜2』(c)三田紀房/コルク
塾だと話はもっと複雑になる。系列塾やフランチャイズ展開の塾を母数に含めている場合もあるし、複数の塾に通っている人もいる。クラス分けは成績順だし、志望校別のコースまである。同一条件で複数の塾を比較することは難しいため、もはや塾で合格率を考えるのはあまり意味がないと言ってもいいだろう。
そして、塾と学校に共通する一番の問題は「何人受験したのか」だ。在籍している生徒全員が同じ大学を受ける訳ではない。「実際に何人出願したか」というデータが公開されることはほとんどない。
大学受験であれば、冠模試(志望校別の模試)の成績資料に高校別の受験数が載っていることもあるから、ある程度は推測できるが、それでも本番の受験者数の正確な数はわからない。塾となればなおさらだ。
特に東大や京大の合格者数ランキングは世間の注目を集めやすいため、何度も何度も繰り返して表示される。無意識のうちにその数字や順位を覚えてしまい、学校選びの判断基準になっているかもしれない。
ただ、数字を無批判に信用するのは危険だ。特に、自分からその数字を積極的に宣伝しているようなところは、公開されていない数字や要因を説明会などで聞いてみるのが賢明だろう。
『ドラゴン桜2』(c)三田紀房/コルク
『ドラゴン桜2』(c)三田紀房/コルク







