「特に今年に向けてのことのほうが、我々にとっては必要なことだと思っている。それで終わったと線引きをして今年に入っているわけだから、もう一回戻って何かをするのはクラブとしてもいいことではないし、選手たちにも迷惑がかかる。あえてやる必要はないというクラブの判断に私は従います」
ならばクラブの方針を質そうと、町田の広報責任者を兼ねる上田武蔵代表取締役COOへの取材対応が要望された。しかし、前出の声明がクラブとして説明できるすべてという理由で応じていない。
山本昌邦委員長「本当に遺憾です」
客観的な情報収集を待つ姿勢
福岡と町田が置かれた現状を、サッカー界はどのように受け止めているのか。
特に指導者公認ライセンスを管轄するJFAの技術委員会は、Jクラブの監督を務める上で必要な最高位のS級ライセンス(現JFA Proライセンス)を、2024年2月に金氏に再発行した際の判断が問われる。
技術委員会は金氏へのコンプライアンス講習として、各種ハラスメントに対する一般知識やアンガーマネジメントなどを、マンツーマンで1回につき約3時間を8コマ、約1カ月間にわたって課していた。そのときの判断は結果として時期尚早であり、さらに踏み込めば誤りだったと言わざるをえない。
技術委員会の山本昌邦委員長(2025年10月に就任)は、金氏を巡る一件に「このような事態になっていることに関しては本当に遺憾です」と言及。金氏に再び厳罰を科すのか、との問いには次のように語っている。
「現時点で仮定の話をするのは難しい。いまはJリーグが(確認に)動いているので、その報告を受けるのがまずはスタートになる。詳細をしっかりと把握してからの話になると思っている」
さらに黒田監督が所持するJFA Proライセンスへ、今回の懲罰処分が与える影響を問われた山本技術委員長は「Jリーグとの共有を含めて必要な情報を収集している状況なので、技術委員会として議論する段階には来ていない」と言及。その上で町田が取る対応に対して、慎重な見解を示すに留めている。
「そこは繊細な扱いになるので、詳細をしっかりと把握して丁寧に対応していく必要がある。それらがそろった段階で、必要があれば技術委員会でしっかりと対応していく、ということになろうかと思う」
金氏の場合、鳥栖におけるパワハラ行為をJリーグが公表してから、JFAがライセンスの降級処分などを科すまでに2カ月あまりの時間を要した。今回もSNS上では黒田監督を含めて、厳罰を求めるさまざまな意見が飛び交っているなかで、客観的な情報の収集が先という判断がはたらいている。
来月6日にはシーズンの秋春制移行に伴って開催される約4カ月間の特別大会、百年構想リーグがスタートする。福岡は塚原真也ヘッドコーチが暫定監督としてチームの指揮を執り、町田は昨年末に発表した声明がすべてとする方針を貫いたまま、新たな戦いへ向けた準備を進めている。







